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第1139号(平成21年2月20日) |

2月4日
医療IT委員会中間答申「レセプトオンライン請求義務化について」

中川俊男常任理事は,日医医療IT委員会(佐伯光義委員長)から,「レセプトオンライン請求義務化」に関して中間答申が行われたことを報告した.同委員会は,唐澤 人会長より,「医療のIT化の光と影」について諮問を受け,鋭意検討を行っているが,特に重要性の高い「レセプトオンライン請求義務化」の問題については,早急に委員会としての考えをまとめるべきとして,来年度末の最終答申に先駆け,一月二十九日,唐澤会長に中間答申を提出した.
同常任理事は,「現状のレセプトオンライン請求義務化のスケジュールでは,平成二十二年四月にレセコンを使用している診療所が期限を迎えるが,同時期には診療報酬改定も控えており,現場に大混乱が起こることは必至である」と主張.一月三十日に,藤原淳常任理事と共に,自民党社会保障制度調査会・医療委員会の鴨下一郎委員長と加藤勝信事務局長を訪問し,「レセプトオンライン請求完全義務化の撤廃と手挙げ参加方式への変更」を正式に申し入れたことを明らかにした.
つづいて,同常任理事は,ITの専門家集団である同委員会が,IT化の「光」の面だけでなく,あえて「影」の部分についても検討することは非常に意味があるとの認識を示し,中間答申のポイントを紹介した.
今回の中間答申は,(一)はじめに,(二)レセプトオンライン請求義務化に対するこれまでの日本医師会の対応,(三)レセプト電算処理とレセプトオンライン請求(医療IT委員会見解),(四)委員会からの日医への提言,(五)まとめ─で構成されている.
中間答申では,「現在手書きでレセプトを作成している全国の約一万三千医療機関は,そもそもレセコンを必要としておらず,入力作業を行う事務員もいない」「レセプト電算対応やオンライン請求を行うためには,多大な費用や労力が必要である」「オンライン請求を行う医療機関には,セキュリティポリシーの策定とその遵守による厳重な情報管理が要求されるが,現状の方式では医療機関からの患者情報流出が発生する可能性も極めて高くなり,訴訟問題の発生にもつながる」等の見解が示されている.そのうえで,「医療機関側が最も懸念するのは,セキュリティポリシーの理解や対応が不足したままに,国の性急かつ強引なIT化要請を受け入れた結果発生する患者情報の漏えいである」として,オンライン請求に固執する国や厚生労働省に対して警鐘を鳴らし,より安全な手法と考えられる,「電子媒体の審査支払機関への直送方式の継続を主張すべき」等の提言を行っている.
最後に,同常任理事は,「日医執行部としては,極めて示唆に富む,力強く優れた中間答申であると評価している」と述べ,関係方面に対して,今後も一層の働き掛けを行っていくことを改めて表明した.
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