日医ニュース
日医ニュース目次 第1141号(平成21年3月20日)

プリズム

カワセミ

 池や川の岸に沿って黒い矢のように飛ぶカワセミを目撃された方は多いだろう.しかし,双眼鏡で細かに観察された方は意外に少ないのではないか.
 この鳥は誠に絢爛(けんらん)豪華である.背は群青色で,中央にコバルトブルーの太い縦じまが目を奪う.一方,前から観ると腹部は鮮やかなオレンジ,喉元(のどもと)と頬(ほお)は白色,その下部に紫の線が入る.頭部にはエメラルドグリーンの斑点が並ぶ.何とも華やかな出(い)で立(た)ちで,雌雄の区別は下嘴(くちばし)の色だけであるという.
 観察していると,好みの高い枝に止まり,餌を見つけては身を躍らせる.餌を捕(と)った後,低い枝に止まって食べる.落ち着いたところで,また高い枝に止まる.たまに,低い枝から何回も水に跳び込み,身繕いする.これは水鳥の水浴びだったのである.
 似た習性の鳥にヤマセミがある.カワセミがスズメくらいの大きさなのに対し,ヤマセミはハトくらいもあり,白色に黒い点が散布され,ごま塩のようだ.
 餌の捕り方はカワセミと同じだが,カワセミが三〜四センチくらいの魚を捕るのに反し,ヤマセミが捕る魚は十センチくらいになる.かなり敏感な鳥であり,緊張すると尾羽の上下の動きが活発になったり,冠毛が逆立った姿が印象的だ.
 日本には,このカワセミ,ヤマセミのほかに,もう一種アカショウビンという鳥がいる.渡り鳥で初夏に日本本土に来て雛(ひな)を育て,九月には南の奄美大島や沖縄へ帰って行く.昨年,その鳴き声を聞いたので,今年はぜひ真っ赤な鳥影(ちょうえい)を拝みたいと思っている.

(駒)

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