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第1142号(平成21年4月5日) |

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がん対策基本法

がん対策基本法が平成十九年四月に施行され,がん対策推進基本計画が策定された.がん対策の飛躍的な強化が求められている.基本計画の理念は,「すべての患者・家族の安心」であり,そのために(一)がんによる死亡者の減少,(二)すべてのがん患者・家族の苦痛の軽減・療養生活の質の向上を掲げている.
主な目標としては,(一)がんによる死亡者の減少<七十五歳未満の年齢調整死亡率の二〇%減少>〔十年以内〕,(二)医療機関の整備等<原則として全国すべての二次医療圏において,概ね一カ所程度拠点病院を設置>〔三年以内〕,(三)がん医療に関する相談支援および情報提供<原則として全国すべての二次医療圏において,相談支援センターを概ね一カ所程度整備>〔三年以内〕,(四)がんの早期発見<効果的・効率的な受診間隔や重点的に受診勧奨すべき対象者を考慮しつつ,受診率を五〇%以上とする>〔五年以内〕─としている.
このうち,(二),(三)については,要件の整理や内容の充実が求められるが,すでに目標は達成されている.(一)については,順調に減少しているところである.最大の問題は,(四)の「五年以内にがん検診受診率五〇%以上の達成」である.平成十年にがん検診が地方交付税として一般財源化されたことや,昨年始まった特定健診・特定保健指導により,従来の行政による健診の一体的な実施から特定健診のみ保険者の責任による実施となり,がん検診やその他の検診の実施率が低下することが懸念されている.今後の目標達成に向けて,医師会を中心に官民一体となった積極的な取り組みが求められている.
特に,来年度のがん対策関係予算案の中で,総務省によるがん検診事業〔地方交付税措置〕が,平成二十年度の六百四十九億円から千三百億円に倍増されたことは特筆すべきもので,ぜひ,都道府県医師会が行政に強力に働き掛けることにより,色がついていないとされる地方交付税については,がん検診事業の予算として充当されることを期待する.
また,検診受診率の向上には衛生行政と保険者,検診実施機関等の一体的な取り組みが重要となることから,補正を含めた予算措置の中で,医師会を中心とした取り組みを検討している.
(常任理事 内田健夫)
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