日医ニュース
日医ニュース目次 第1145号(平成21年5月20日)

中医協(4月22日)
外来管理加算の時間要件の見直しを求める

中医協(4月22日)/外来管理加算の時間要件の見直しを求める(写真) 中医協基本問題小委員会が四月二十二日,厚生労働省で開かれ,藤原淳常任理事は,外来管理加算の時間要件の見直しを改めて強く求めた.
 当日の基本小委では,診療報酬改定結果検証部会で報告された「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査(速報)」ならびに「病院勤務医の負担軽減の実態調査(速報)」の結果を基に,基本診療料に関する議論が行われた.
 藤原常任理事は,「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」について, (一)医療機関の対応については,詳細な身体診察や丁寧な説明を行うようになったとの回答もあるが,その比率はあまり高くない.以前から詳細な診察等が行われていたためと推察される,(二)診療内容への満足度は「算定あり・なし」で違いはなく,「算定あり」の患者が,四月以降,診療内容の変化を実感しているわけでもない.むしろ以前から,医師は丁寧な診察や説明を行っていると判断される,(三)時間については,どちらかというと,診察時間,待ち時間は長くなる傾向にあり,医師の約三割が診察時間の計測を負担に感じる一方,患者の六割は時間の目安は必要ないと考えている,(四)通院ごとに全項目について懇切丁寧な説明をすべきであるという患者は一割強にとどまっている,(五) 当初診療所への影響額は二百四十億円のマイナスといわれていたが,調査結果から試算すると,八百四億円のマイナスの影響が出ていた─等が明らかになったと指摘した.
 そのうえで,同常任理事は,厚労省に対して,影響額が想定以上に大きなマイナスとなることに対する考えを示すよう要求した.
 これに対して,厚労省は,「社会医療診療行為別調査の結果を見なければ,正確な影響額は分からない」と明確な回答を示さず,支払側も外来管理加算のみを取り上げて議論することに難色を示したため,この問題については検証部会の最終報告がなされた後,初・再診料の中でどう位置づけるか,要件をどうするのか,引き続き,基本診療料に関する議論を行うなかで議論していくことになった.
 この結果を受けて,藤原常任理事は,今回の件は現場に疲弊をもたらしており,基本診療料の議論から外れることは承知のうえであえて発言したとコメントした.また,竹嶋康弘副会長も,「前回改定の議論の際に時間要件はおかしいということが委員の総意であった」と述べた.
 藤原常任理事は,同日に日医会館で開かれた定例会見にも出席し,「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」に対する日医の見解を改めて説明した.
 そのなかで,同常任理事は,診療所への影響額が予想以上に大きかったことに関して,「厚労省は,その原因が何であったのか診療側に示す必要がある」とし,今後も,中医協の場で,明確な回答を求めていきたいとの考えを示した.
 さらに,今後については,「医療現場の生の声を伝えるという使命のもとに,これまで,再三にわたって,外来管理加算の見直しを求めてきた.検証結果が中医協に報告される時期が遅かったために,昨年度中の見直しは出来なかったが,引き続き,公益・支払側の理解を求めながら,期中改定の実現を目指していきたい」と述べた.

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