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第1147号(平成21年6月20日) |
中医協(5月27日・6月3日)
DPC対象病院への参加・退出ルールを了承

中医協が,五月二十七日,六月三日の両日,厚生労働省で開催された.
六月三日の基本小委では,DPC対象病院への参加および退出のルール等について議論が行われ,承認された.今回提出されたルール案は,遠藤久夫会長の指示のもとに,前回までの議論を踏まえて,中医協事務局が各側ともあらかじめ調整し作成したものである.
退出ルールの作成は,日医が以前から強く求めていたものであり,その要望が実現することになった.ルールの適用は,今年度からとなる.
これにより,DPC対象病院に参加するには,診療報酬改定の五カ月前までに,厚労省に申請し,参加の要件((1)当該病院が参加の意思がある(2)DPC対象病院に参加する直前の二年間において,DPC準備病院の基準を満たしている(3)DPC対象病院に参加する時点において,DPC対象病院の基準をすべて満たしている)をすべて満たしていることが必要となり,要件を満たしていれば,当該診療報酬改定の年度当初より参加が認められることになった.
一方,退出に関しては,DPC対象病院の基準のいずれかを満たせなくなり,退出する場合には,速やかに厚労省に報告しなければならないが,基準を満たさなくなった場合には,すぐに退出するのではなく,三カ月の猶予期間が設けられた.
また,自主的に退出しようとする場合には,診療報酬改定の五カ月前までに,その理由等を添えて厚労省に届出を行えば,当該診療報酬改定の前年度末に退出することが出来ることになった.ただし,特別な理由があり,緊急にDPC対象病院から退出する必要がある場合には,退出の認否について,中医協で判断し,当該診療報酬改定の前年度末以外にも退出が認められることになった.
中医協事務局が資料に示したところによれば,特別な理由の例として,(1)医師の予期せぬ退職等により,急性期入院医療を提供することが困難となった場合(2)当該病院の地域での役割が変化し,慢性期医療を提供する病院となった場合─等を挙げている.
なお,前回の基本小委に示され,問題となったDPC対象病院から退出した病院に,継続してDPCの調査データを提出させるとされた件については,当該病院が急性期入院医療を引き続き提供する場合にのみ,退出後二年間,調査データを提出すれば良いことになった.
そのほか,三日には,薬価専門部会が開催され,「平成二十一年度薬価制度改革の骨子」策定に向けて,四つの業界団体(日本製薬団体連合会,米国研究製薬工業協会,欧州製薬団体連合会,日本医薬品卸業連合会)からのヒアリングが行われた.四団体からは,そろって,日薬連から提案されている「薬価維持特例」の導入に賛成する意見が出されたが,多くの中医協委員からは,「後発品が出にくくなるのではないか」など,特例導入への懸念が示された.
業界団体との質疑応答のなかで,藤原淳常任理事は,薬価制度改革においては,市場のニーズをくみ上げる仕組みを作るべきであると主張.また,薬価維持特例については,「特例を設けることで得られた財源で国内医薬品産業の育成を図ろうとしているのかも知れないが,本来,産業の育成は国の予算で実施すべきものである」との考えを示した.
五月二十七日には,薬価専門部会と保険医療材料専門部会が開催された.
薬価専門部会では,平成二十年度薬価制度改革において,引き続き検討を行うとされた事項のうち,「後発品のある先発品の薬価改定等」について議論が行われた.中医協事務局からは検討に当たっての論点として,(一)後発品のある先発品の薬価改定の特例ルール,(二)薬価改定の頻度,(三)後発品の収載頻度─の三つが示された.
(一)の特例ルールは,平成十四年度に導入されたもので,先発品の薬価改定について,新規後発品収載後,または再審査期間終了後の最初の薬価改定時に,改定薬価の一定割合を引き下げるというものである.今回は,このルールを存続させるか否かが論点となった.
議論のなかで,藤原常任理事は,後発品の納入価格のバラツキが大きすぎることを改めて指摘.「その実態を調べてもらい,結果を示してもらわなければ議論にならない」と述べた.
そのほか,同部会では,平成二十一年度に実施する医薬品価格調査の実施案についても議論が行われ,了承された.実施方法は,平成十九年度と同様であり,平成二十一年度中の一カ月間の取引分を対象として実施されることになる.
引き続き行われた保険医療材料専門部会では,材料価格制度の基準等について中医協事務局から説明を受けた後,今後の議論の進め方等について協議が行われた.その結果,今後は,今年初めに,イタリア,オーストラリア,カナダ,スウェーデン等を対象として実施した医療材料価格等に係る調査結果や保険医療材料専門組織の意見も踏まえ,さらに議論を進めていくことになった.
そのほか,同部会では,特定保険医療材料価格調査の実施案についても議論が行われ,了承された.実施方法は,平成十九年度と同様であり,数カ月間の取引分を対象として,おおむね一カ月実施することになる.
用語解説 DPC
DPC(Diagnosis Procedure Combination)は,わが国独自の診断群分類を指す.一般的には,平成十五年に特定機能病院に導入された「急性期入院医療の診断群分類に基づく一日当たりの包括評価制度」を意味する単語として使用されている. |
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