日医ニュース
日医ニュース目次 第1148号(平成21年7月5日)

中医協(6月10日)
入院料に関する議論をスタート

中医協(6月10日)/入院料に関する議論をスタート(写真) 中医協総会ならびに診療報酬基本問題小委員会が六月十日,厚生労働省で開催された.
 基本小委では,診療報酬改定に向けて,基本診療料のうち入院料に関する議論が開始された.今回は,検証部会がまとめた平成二十年度特別調査の報告を基に,(1)入院時医学管理加算(2)医師事務作業補助体制加算(3)ハイリスク分娩管理加算について,改定時の目的と合致しているかどうかや,施設基準などの要件の妥当性について意見が求められたが,多くの委員からは,個別項目だけではなく,入院料全体に関する議論を行うべきとの意見が出された.
 藤原淳常任理事は,入院時医学管理加算の届出が,検証部会では平成二十年七月現在で八十八であったものが,平成二十一年六月では百七十病院になったとの報告を受けて,「実態調査を行った時から比べて,届出数などに変化が見られる.また,どの程度の財源効果があったのかもはっきりしないなかで,実態調査の結果だけを基に議論を進めていくことには疑問を感じる」と指摘.
 中川俊男常任理事は,地域医療を再生するには,医療費全体の底上げが必要だとして,必要な財源は確保するとの共通認識のもとに,議論を行っていくべきであると主張するとともに,点数配分に当たっては,改定率が決まる前に改定項目の議論を行うが,実際に決まった改定率によっては,すぐに対応すべきものや次回改定で検討すべきもの等の選択を行うべきとの考えを示した.
 総会では,加藤治文中医協薬価算定組織委員長から,新医薬品九成分十九品目の薬価算定について,薬価算定組織で検討した結果の報告があり,中医協として,薬価収載を承認することになった.
 合成抗菌剤の承認に当たって,藤原常任理事は,長期投与によって耐性菌が生まれている問題や,すでに後発品が出ているにもかかわらず,規格を変えて薬価収載の申請を行っている問題を解決することが先決であると主張.また,外国人を対象として行った治験結果を基に申請が行われていることに対して,その安全性に疑問を投げかけた.
 さらに,ARBと利用剤の配合剤については「薬の創造性という面から問題がある」と改めて批判した.支払側からも「後発品の促進を阻害する」等の問題点が指摘されたことから,配合剤の薬価算定等に関して,薬価専門部会でさらに検討していくことになった.
 また,五月二十七日に開催された薬価専門部会・保険医療材料専門部会でそれぞれ了承された今年度実施予定の医薬品価格調査の実施案,特定保険医療材料価格調査の実施案についても議論が行われ,承認された.
 そのほか,当日は,中医協事務局から,五月二十七日に開催された慢性期入院医療の包括評価調査分科会の審議内容について報告が行われた.分科会から,療養病床の再編,介護報酬の見直しなどが行われ,分科会発足当時と状況が変化していることを受けて,分科会の検討範囲を一般病棟や介護施設も含めた慢性期医療のあり方にまで拡大して欲しいとの要望があるとの説明があり,後日,分科会長から検討項目案が基本小委に提示されることになった.

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