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第1150号(平成21年8月5日) |
武見フェロー帰国報告会(7月16日)
2008年度武見フェローが研究成果を発表

武見フェロー帰国報告会が七月十六日,日医会館で行われた.
武見国際保健プログラムは,国際保健に関する知識の向上や医療政策の国際研究に寄与することを目的として,一九八三年,日医の協力によりハーバード大学公衆衛生大学院(HSPH)に設置されたもので,毎年途上国を中心とした世界各国からの研究者十名程度を武見フェローとして受け入れている.
この日は,二〇〇八年度の日本人武見フェロー二名が,唐澤 人会長はじめ日医役員等関係者に,それぞれ研究成果を報告した.
佐々木亜里美(あさみ)氏(新潟県立大人間生活学部健康栄養学科)は,「小学校における学級閉鎖開始時期の検討」をテーマとして,新潟県上越市内の小学校(全五十四校)における,季節性インフルエンザ流行初期の欠席生徒数の二〇〇五〜二〇〇八年の四シーズンにわたるデータをもとに行った研究の結果を報告した.
その結果,学校全体において二日間で四%の流行が認められた際,学級閉鎖を行うことが,その後の流行の抑制と,働いている親への影響などの面から効果的であると指摘.流行時の混乱を抑え,適切な判断を行うためにも,学級閉鎖に関する国レベルの具体的なガイドラインが有効かつ必要であるとして,学校のサーベイランスの更なる強化が望まれると述べた.
浜本美英子氏(日医国際課)は,「医師会雑誌による国際貢献の可能性─医師会発行定期刊行物に関する国際調査報告─」をテーマに各国医師会(九十二医師会)の組織と定期刊行物に関するアンケート調査(回答率三四%)の結果を報告.その結果,ほとんどの医師会雑誌の影響力は,ごく一部の例外を除いて国内に限定的であることを指摘した.また,競争・飽和状態にある学術雑誌市場において影響力を有する医師会雑誌を発行することは,多くのリソースがなければ難しいが,独自性をもつことで意義ある国際貢献を行うことが可能であるとし,今後は,英語とインターネットの活用がますます重要になると述べた.
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