日医ニュース
日医ニュース目次 第1156号(平成21年11月5日)

第121回日本医師会臨時代議員会
医療崩壊からの脱却
あるべき医療に向けた政策提言を一層強化

 第121回日本医師会臨時代議員会が10月25日,全国から350名(定数354名)の代議員出席の下,日医会館大講堂で開催された.
 当日は,一般会計決算の件など,6議案の審議が行われ,可決成立したほか,財務委員会の設置が承認された(別記事参照 12
.詳細は『日医雑誌』12月号の別冊参照)

第121回日本医師会臨時代議員会/医療崩壊からの脱却/あるべき医療に向けた政策提言を一層強化(写真) 午前九時三十分,石川育成代議員会議長の開会宣言,あいさつ後,議席の指定,定足数の確認,議事録署名人二名の指名と議事運営委員会委員八名の紹介が行われた.
 次に,唐澤人会長が別掲別記事参照のとおり所信を表明.つづいて,竹嶋康弘副会長が平成二十一年四月以降の会務概要を報告し,議事に移った.
 まず,第一号議案「平成二十年度日本医師会一般会計決算の件」,第二号議案「平成二十年度医賠責特約保険事業特別会計決算の件」,第三号議案「平成二十年度治験促進センター事業特別会計決算の件」,第四号議案「平成二十年度医師再就業支援事業特別会計決算の件」が一括上程され,宝住与一副会長の提案理由説明の後,審議は決算委員会に付託された.
 つづいて,第五号議案「日本医師会会費賦課徴収規定一部改正の件」,第六号議案「日本医師会会費賦課徴収の件」が一括上程され,宝住副会長の提案理由の説明の後,予算委員会に,その審議が付託された.
 引き続き,石川代議員会議長から,今般の公益法人制度改革に伴い予算が理事会承認,決算が代議員会承認との検討が行われていることも踏まえ,代議員会閉会中でも,日医の財務状況を検討するため,会内に財務委員会を設置(十五名の委員で構成)することの提案があり,今村聡常任理事による概要説明の後,承認された.
 その後,代表質問と個人質問に移った.

代表質問

 (一)健康保険制度の一元化について
 健康保険制度の一元化に対する日医の見解を問う小西紀彦代議員(近畿ブロック)の質問には,唐澤会長がまず,日医は昭和四十三年から一貫して,保険制度の一元化を主張してきたことを説明.一元化を主張する最大の理由については,国民がいつでも等しく医療を受けられることにあるとした.
 そのうえで,同会長は改めて日医の考える医療保険制度について,『グランドデザイン二○○九』にも示したとおり,七十五歳以上を対象とした「高齢者のための医療制度」と現役世代を対象とした「一般医療保険」の二本立てとすることを提案していると説明.一元化に向けた課題については,保険料の格差の解消や,保険者間の財政調整を挙げ,それらについては現実的かつ早急に着手出来る課題であることから,新政権に対しても,日医の医療保険制度のあり方について積極的に提言していく意向を示した.
 (二)医師のための医師会に向けた改革について
 吉本正博代議員(中国四国ブロック)からの(1)代議員の勤務医枠をもうける(2)日医役員のキャビネット制廃止─等医師のための医師会に向けた改革を求める質問については,宝住副会長が回答.
 同副会長は,はじめに,「現在の勤務医の労働環境では,積極的に医師会活動にかかわるのは困難で,まずは,勤務医の医療環境を整えることが必要である.日医では,会内に『医師の団結を目指す委員会』等を設置して,若手医師や勤務医等全員参加の医師会を目指して,検討を続けているが,全国の勤務医部会活動のさらなる推進により勤務医の意見が反映されるよう活動の場を広げて欲しい」と要請.
 そのうえで,(1)について,日医はすべての医師を代表する団体であり,選挙によって代議員を選出することが公平であるとの認識を示したうえで,代議員の選出に関しては,都道府県医師会に委託しているため,各医師会で配慮いただきたいと協力を依頼した.
 また,(2)については,重要な指摘であり,今後,会内の「定款・諸規定改定検討委員会」で検討していきたいと述べた.
 (三)国民のためのあるべき医療提供体制について
 国民のためのあるべき医療提供体制の姿を早急に提示すべきという小森貴代議員(中部ブロック)の質問には,竹嶋副会長が回答した.
 日医は,プロフェッショナル・オートノミーに基づく医師集団として,国家の関与によらず,自らの決定により,医師の養成や研鑽(さん),あるべき地域医療の姿について,エビデンスに基づく政策の立案を政府・与野党に対して提言していく責務があることは当然であるが,国民に対しても強くメッセージを伝えていかなければならないと主張.
 その一方で,日医が自律性を発揮して,何をすべきか,何が出来るかという視点に立った医療提供体制の具体的なビジョンを提示し得ないでいることを率直に認め,日医として,わが国の国民が望む国民のための「あるべき医療のデザイン」を提示すべく作業を行う考えを示した.
 (四)政権交代後の日医の取るべき対応と方向性について
 諸岡信裕代議員(関東甲信越ブロック)の政権交代後の日医の取るべき対応と方向性についての質問には,唐澤会長が回答した.
 同会長は,第一に,日医が揺らぐことのない政策を持ち続け,それを明文化し,国民や政界と共有することが肝要と主張.そのための方策として,これまでの『グランドデザイン』を進化させるとともに,新政権から理解を得るため,新たに「日本医師会の提言」を取りまとめたこと,さらには,政策提言のためのアプローチとして,長妻昭厚生労働大臣と会談し,厚生行政の方向性について意見の一致をみたことを報告した.
 また,日医の社会的使命は,国民のための医療制度を確保し,「医の本道」に立って提言を続けることにあるとした.そして国民の福祉に寄与し,現場の医療を担う先生方に対しての責務を遂行するためにも,新政権に対して多くの提言を可能とする道が不可欠であるとして,代議員に対して,政策提言の機能を強め,新政権との関係を構築するためのさらなる協力を求めた.
 (五)医師の不足・偏在問題に対する日医の具体的対応方針について
 横須賀巖代議員(九州ブロック)からの医師の不足・偏在問題に対する日医の具体的対応方針を問う質問には,岩砂和雄副会長が回答した.
 日医は,医師数増加に向けて,医師の偏在を解消しつつ,(1)財源の確保(2)一貫した教育制度が確立したもとでの医師の質の確保・向上(3)医師養成数の継続的な見直し─を前提条件として医師数を中長期的に一・一〜一・二倍にすることが妥当であるとした,これまでの提言を改めて説明. 
 そのうえで,同副会長は,「病院勤務医の過重労働を解消するには,これらの方策だけでは必ずしも十分ではない」とし,自由開業医制を堅持しつつ,地域医療対策協議会の活性化など,日本の実情に合った医師偏在への対策を講ずるなど,今後も政策提言を続けていくとの考えを示した.
 また,政権交代を契機に『グランドデザイン二○○九』を見直すべきとの提案については,エビデンスを基に,確信を持って提言したものであり,政権が交代したことによる見直しについては,その必要はないとの考えを示した.
 (六)今後の政局に当たる日医の具体的方策や決意について
 玉木一弘代議員(東京ブロック)からの今後の政局に当たる日医の具体的方策や決意を問う質問には,宝住副会長が回答し,あるべき医療,福祉の姿を政府に働きかけ,社会保障施策として実現させるために日医が中心となるべきとの考えを示したうえで,「『グランドデザイン二○○九』を基に,日本の将来像を提示する啓発用資料を作成していきたいと考えている.各地域から選出されている議員への説明等に役立てて欲しい」と述べた.
 また,代議員からの「国民に支持される提言は,全国の生の医療現場を背景にしたものを強調すべき」「国民医療の再生への提言は,どのような政権と対峙しても変わることはない」との指摘に対しては賛意を表明.今後については,新政権の医療政策はいまだ不透明な点も多いとしながらも,「日本医師会の提言─新政権に期待する」を作成し,全国会議員へ配布するなど,協議関係の構築に全力を挙げていく考えを示した.
 (七)次期診療報酬改定について
 三宅直樹代議員(北海道ブロック)の次期診療報酬改定について,日医の見解を問う質問には,竹嶋副会長が回答した.
 同副会長は,外来管理加算の五分要件について,さまざまな調査結果により,当初の想定額を上回る影響が出ていることは明らかだとして,その撤廃へ向け強い意欲を示した.
 次期診療報酬改定については,前回改定が地域医療の受け皿である中小病院の救済にはほど遠かったことから,安全で質の高い医療を提供するために,診療報酬の大幅かつ全体的な引き上げを新政権に求めていくとした.
 また,改定の仕組みが変更されると報道されていることについては,決定に至るプロセスが変わっても,医師を代表する学術団体として,日本の医療,診療報酬体系のあるべき姿を,エビデンスに基づいてしっかり主張していくと強調した.

個人質問

 (一)受診抑制への対応について
 中田康信代議員(北海道)は,経済的な要因により患者の受診抑制が起きていることについて,日医の対応策を質した.
 宝住副会長は,「経済的事情により受診を控え,重症化してから医療機関に搬送されている事実は,医療提供者として悲しみと怒りを禁じ得ない」と述べ,早期発見・早期治療のためにも外来患者一部負担割合の引き下げが喫緊の課題であるとした.
 そのうえで,義務教育修了までの外来医療費の無料化,現役世代は三割から二割へ,七十歳以上は一律一割負担とすることを新政権に向けた提言としてまとめ,厚労政務三役(長妻大臣,細川律夫・長浜博行両副大臣,山井和則・足立信也両政務官),藤井裕久財務大臣に提出したことを報告.給付費の増額には,保険料の引き上げではなく,公費での対応を求めているとした.
 (二)公益法人に向けて準備中の日医が直面する課題とその対応について
 笠井英夫代議員(岡山県)の,公益法人移行に向けて日医が直面する課題とその対応についての質問には,今村(聡)常任理事が回答.
 日医の公益法人への移行に当たり,直接目指すのか,あるいは一度一般法人に移ってから目指すのかという点については,今後の作業の進捗状況等を勘案して慎重に選択するとした.
 質問のなかで提案された「公益法人,一般法人の両者を満たす方策」については,法人の事業を分け,公益法人と一般法人等の二つで担う方策などがあるが,本体法人と関係組織の関係をどう規定するかといった種々の問題があると指摘.現時点で検討はしていないが,有効な方策があれば情報提供するとした.また,医師会間の情報共有システムを構築すべきとの提案に対しては,当面は日医ホームページ内の公益法人制度改革コーナーのさらなる活用と充実を図ることで対応していくとして,理解を求めた.
 (三)看護職員の養成について
 川島周代議員(徳島県)の看護職員の養成についての質問に対して,羽生田俊常任理事は,日医として,改めて看護職員不足問題の重大さを指摘していきたいとの意向を示し,カウンセリング事業については,産業医学振興財団から発刊されている『メンタルヘルス実践ガイドライン』などを参考にして欲しいとした.
 また,実習施設の確保については,厚労省に対して,実習施設要件の緩和や補助金の増額,母性・小児実習,男子学生の母性実習の緩和などを引き続き求めていくとしたうえで,会員の病院・診療所等においても,実習施設を引き受けてくれるよう要請した.
 教員資格については,現在,厚労省の「今後の看護教員のあり方に関する検討会」において検討中であり,国に対して現場からの意見を伝えていくと述べた.
 (四)医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案について
 嘉数研二代議員(宮城県)の「どうなる?医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」の質問に,木下勝之常任理事は,本年九月に民主党政権が発足した結果,大綱案は,そのままの形で法制化されることはなくなったことから,本大綱案の考え方を,民主党案(通称『医療の納得・安全促進法案』)に取り入れてもらうための働きかけが必要との考えを示した.
 また,医療安全担当の厚労省医政局に対しては,日医から,(1)議論なしに民主党案を医療界に押しつけることはしない(2)多くの医療現場の声を聞く(3)大綱案と民主党案との整合性を図る(4)厚労省の死因究明のモデル事業を来年度も継続する─ことを強く要望していると報告した.
 さらに,刑事罰に代わる行政処分の在り方をまとめ,国に提言する考えを示した.
 (五)集団的個別指導について
 西城英郎代議員(三重県)の集団的個別指導についての質問に対して,藤原淳常任理事は,まず,日医の働きかけにより,平成十年三月十八日付の厚労省医療課長通知を発出させ,結果的に集団的個別指導の個別部分を物理的に実施出来ない状況をつくったとその経緯を説明した.
 そのうえで,情報提供が四%以下であった場合には,公平性の観点から現行の考え方も止むを得ないとし,選定医療機関の区分別平均点数の,例えば一・五倍以上などの高い設定を設けるなどの工夫が出来ないか,当局と折衝中であると報告.加えて,対象選定のための類型区分についても,改定を申し入れているとした.
 本年一月三十日付で出された内翰(ないかん)については,地方厚生局との対応をスムーズにするためのものであるとして,ぜひ生かして欲しいと述べ,保険指導のあり方については医療機関が萎縮診療に陥らないように,引き続き主張していくとした.
 (六)地方厚生局における指導監査業務などについて
 佐藤和宏代議員(宮城県)からの地方厚生局における指導監査業務に対する要望((1)画一的な統一化の排除(2)指導官の採用条件の緩和)ならびに提案((3)研修医時代などでの保険診療に関する講義の実施)に対しては,藤原常任理事が回答した.
 (1)について,指導に関しては,これまでも,都道府県医師会と社会保険事務局が相談して,その地域独自の運用をしてきたことを報告.地方厚生局にその業務が移管されても,地域独自の運用が出来るよう厚労省に申し入れを行っているとし,現在,その趣旨の文書が厚生局宛に出される方向で検討されていることを説明した.
 (2)には,指導官は公務員であり,日医の意見が反映されるかは定かでないが,医療現場の声として,厚労省に意向を伝えると回答.(3)には,その趣旨に賛同する意向を示したうえで,「特定共同指導の集団指導における厚労省指導官の講演のようなものが出来ればよいと考えている」とした.
 (七)薬価維持特例について
 製薬業界が,中医協に提案している薬価維持特例に対する日医の見解を問う田島知行代議員(千葉県)の質問には,藤原常任理事が回答した.
 同常任理事は,まず,薬価維持特例の概要と中医協での審議内容を説明したうえで,「特例導入後の企業の対応が適正かどうかなどを評価する仕組みがない」「先発医薬品メーカーの一人勝ちになる恐れがある」など,薬価維持特例導入の問題点を指摘.
 その導入については,中医協で決定することになるとしながらも,特例を導入するということは,限られた医療財源のなかで,産業育成の手当てをするということになるので,国民が十分納得出来る理由が必要になるとの考えを示した.
 (八)日医の新たな医療政策提言戦略について
 川島龍一代議員(兵庫県)の政権交代後の日医の医療政策提言の手法に関する質問には,中川俊男常任理事が回答.
 同常任理事は,今後,医療現場の第一線の総力を結集し,エビデンスの高い医療政策を直接政府そして与野党に提案し,社会に情報を発信し続けていくと説明.さらに,『グランドデザイン』を確実に更新・進化させるとともに,対外的に影響力を持ち,意見の異なる立場の医療関係者が同じ土俵で議論出来る開かれた場を日医主導で設置することを検討するとの考えを示した.
 また,中医協の人事に関しては,日医の役員が外れることになれば,明らかな報復人事だと批判.このような理不尽な人事は許されることではなく,これにたじろぐことなく闘っていくとして,全代議員に協力を求めた.
 川島代議員の質問には唐澤会長も答弁し,「日医は正々堂々とエビデンスに基づいた,国民の思いに沿った医療政策を提言していく」と述べた.
 (九)医師不足・偏在に対するあるべき医師の増員および待遇改善に係る費用について
 渡部透代議員(新潟県)の「医師不足・偏在に対するあるべき医師の増員および待遇改善に係る費用について」の質問には,内田健夫常任理事が答えた.
 医師の養成増は,十八歳人口の減少,定員増後の削減の困難さ等への配慮が必要で,早期の医師数大幅増は,低い高等教育への公的負担,メディカルスクールの導入,ナースプラクティショナーの容認問題等にもかかわってくると指摘.
 人的費用と診療報酬との関係については,まずは医療崩壊を食い止めるため,診療報酬の大幅かつ全体的な引き上げを求めるとともに,「健康保険法等の一部を改正する法律附則第二条第二項の規定に基づく基本方針」[(1)医療技術の適正な評価(2)医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的な評価(3)患者の視点の重視等の基本的な考え方に立って見直しを進める]の実施等を働きかけたいとした.
 (十)医療費の窓口負担の大幅な引き下げを求める要望について
 天目純生代議員(栃木県)は,医療費の窓口負担の大幅な引き下げを求めるとの質問をした.
 これには,中川常任理事が,日医は十月十四日に,「日本医師会の提言─新政権に期待する」を取りまとめ,同日記者会見で発表するとともに,長妻厚労大臣をはじめ厚労省の政務三役に提出したとし,この中で,緊急課題として,(1)診療報酬を大幅かつ全体的に引き上げる(2)患者一部負担割合を引き下げる─の二点を要望したことを報告.
 そのうえで,同常任理事は,経済的理由による受診抑制が心配されるとし,外来患者一部負担割合の引き下げ,特に,義務教育修了までの外来医療費の無料化,現役世代は三割負担を二割負担に,七十歳以上は,現役並み所得があったとしても一律一割負担にするよう,主張しているとした.
 (十一)日本医師会独立プラットホーム論について
 山光進代議員(北海道)が提唱する「日本医師会独立プラットホーム論」についての質問には,唐澤会長が,まず,これまでの政策提言のあり方を反省し,信念に基づく確たる政策を提言していくとの強い決意を示した.そして,「『医の本道』に立った医療の追求が使命であることを,改めて認識した」と述べた.
 そのうえで,日医は,独立した学術専門団体であるがゆえに,国民,患者の声を同じ目線で受け止め,伝えることが出来るとし,国民の健康と福祉を守り抜く理念を全うすべきとの考えを示した.
 さらに,日医の政治団体である日本医師連盟の方針転換を機に,日医も,より独立した立場から,踏み込んだ政策提言を行い,『グランドデザイン』も進化,発展させていくとした.
 また,日医の政策に国民が共感出来るよう,国民に語り掛ける具体的方法を検討したいとした.
 (十二)今こそ,全医師の強固な団結を求める要望について
 池田俊彦代議員(福岡県)は,全医師の強固な団結の推進について,日医の見解を質した.
 内田常任理事は,「すべての医師が団結し,医療のあるべき姿に向かって協働していくことが必要であり,その役割を担うことが出来る団体は,日医以外にはない」と主張.その一方で,これまでの日医の活動について,「勤務医や国民に対して,日医への理解を求める活動が十分ではなかった」との反省を述べた.
 さらに,同常任理事は,現在,多様な意見の集約を図るため,会内に「医師の団結を目指す委員会」を設置し,唐澤会長からの諮問「医師の団結に向けた具体的な方策」について検討していることを説明.「『国民医療を守る』という信念のもとに一致団結し,国民の視点に立った医療政策を提言し,その実現を図る」として,理解と協力を求めた.
 (十三)よりよい介護認定のためにについて
 菅沼明人代議員(静岡県)は,要介護認定制度の見直しに関する,日医の関与と会員への説明について質問した.
 三上裕司常任理事は,今回の要介護認定の見直しに対して,違和感を覚え,社会保障審議会介護給付費分科会において,要介護認定の見直しを公の場で検証・検討すべきとの意見を述べてきたことを報告.
 今回の要介護認定の見直しで,現場の混乱を招いた厚労省に対しては,猛省を促し,見直し後の要介護認定の状況を公の検討会の場で検証することになったと説明した.
 さらに,同常任理事は,主治医意見書の記載内容が認定審査会において,一次判定結果を変更する根拠となることから,認定審査会の役割が今まで以上に重要になるとし,各医師会に対して,主治医意見書の重要性の周知と記載の充実を要望した.
 (十四)政権交代と日医の対応について
 安達秀樹代議員(京都府)は,政権交代と今後の日医の対応について質問した.
 中川常任理事は,政権交代の可能性について,「可能性」は予見出来たが,日医の医療政策や要望を実現するためには,日医連が支援する自民党の厚労関係議員に政治力を発揮してもらう必要があったことから,民主党との政策協議に踏み切れる状況ではなかったと説明.
 今回の政権交代を受けて,日医が「日本医師会の提言─新政権に期待する」を取りまとめたこと,日医連が活動方針の見直しを行い,日医が与野党との良好な協議関係を構築する意向であることを示し,「今後は日医が提言する医療政策を実現し得る政党との関係を強化し,新政権と真摯(しんし)に対話を行い,国民本位の医療を取り戻したいと切に願う」と述べた.
 決算委員会,予算委員会に付託されていた議案については,それぞれ午後四時五分,四時八分に,決算委員会委員長,予算委員会委員長から審議結果が報告され,いずれも賛成多数で可決した.
 最後に,唐澤会長,米盛學代議員会副議長からの閉会あいさつが行われ,午後四時三十九分に閉会となった.

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