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第1164号(平成22年3月5日) |
中医協(2月12日)
診療報酬改定に関する答申まとまる

中医協総会が二月十二日,厚生労働省で開催された.
当日は,平成二十二年度診療報酬改定に関する答申(案)について議論が行われ,診療・支払両側がこれを了承.答申は遠藤久夫会長から長妻昭厚労大臣に提出された.
答申には,十六項目からなる附帯意見がつけられ,これらの項目については出来るだけ早急に取り組みを開始するとともに,国民がより質の高い医療を受けることが出来るよう,幅広い視点に立って,診療報酬のあり方について検討を行うとしている.
今回の改定議論は,昨年末に改定率(プラス〇・一九%)が決定された際に,従来は中医協で決定していたその配分(外来約四百億円,入院約四千四百億円)までもが決められるという極めて異例な状況のなかで行われることになった.
そのなかで,最大の焦点となったのが,再診料と外来管理加算の問題であった.
再診料については,診療所を引き下げ,病院を引き上げることによる統一化を主張する支払側に対して,診療側は診療所の再診料引き下げに強く反発.そのため,両側の合意は得られず,この問題については,公益側が六十九点で統一するとの裁定案を提示.これに納得のいかない診療側委員二名が抗議して途中退席するという場面も見られたが,最終的には,裁定案は了承されることになった.
なお,患者からの休日・夜間の問い合わせに対応可能な診療所に対しては,再診料への加算として,「地域医療貢献加算」(三点)が新たに評価された.
外来管理加算については,「概ね五分以上」という時間要件は点数維持のまま廃止されることになった.
一方,この要件が設けられた趣旨である「懇切丁寧な説明に対する評価」をより明確化する観点から,新たな要件が設けられ,簡単な症状の確認等を行ったのみで継続処方を行った場合(いわゆる未受診投薬)には,外来管理加算は算定出来ないことになった.
そのほか,社会保障審議会の医療部会ならびに医療保険部会が昨年十二月に取りまとめた「平成二十二年度診療報酬改定の基本方針」に示された重点課題(「救急,産科,小児,外科等の医療の再建」「病院勤務医の負担軽減」)への対応としては,「充実した体制の救命救急センター,二次救急医療機関への評価」「ハイリスク妊産婦管理加算の充実ならびに対象の拡大」「ハイリスク新生児に対する集中治療の評価」「外保連試案を活用した手術料の引き上げ」「小児に対する手術評価の引き上げ」「医師事務作業補助体制加算の評価の充実」「七対一病棟,十対一病棟における看護補助者の配置の評価」「多職種からなるチーム医療の評価」等が行われることになった.
また,後期高齢者医療の診療報酬については,七十五歳という年齢に着目した診療報酬体系は廃止されることになった.
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