日医ニュース
日医ニュース目次 第1169号(平成22年5月20日)

民主党 適切な医療費を考える議員連盟 医療機器ワーキングチーム勉強会(4月23日)
混合診療の全面解禁に関して意見交換

民主党 適切な医療費を考える議員連盟 医療機器ワーキングチーム勉強会(4月23日)/混合診療の全面解禁に関して意見交換(写真) 民主党「適切な医療費を考える議員連盟」の医療機器ワーキングチーム勉強会が四月二十三日,都内で開催され,中川俊男副会長,鈴木邦彦常任理事が講師として参加した.同勉強会は,医療問題のうち,医療機器にかかわる問題点について研究を行い,政策へ反映させるべく活動を行っている.
 当日は,「医療界から見た日本の医療機器の在り方」について,内外価格差や診療報酬,先進的な医療機器の使用(海外と日本の比較等)に関し,日医と意見交換した.
 会合は,福島伸享衆議院議員(ワーキングチーム事務局長)の司会で開会.柚木道義衆議院議員(ワーキングチーム座長)が,「日医としっかりとコミュニケーションをとることで,より関係を強化出来るようになればよいと思っている」とあいさつした後,中川副会長が,日本の医療機器の在り方について,日医の要望を説明した.
 同副会長は,日医の意見として,(一)特定保険医療材料の薬事承認および保険収載までの時間,MRI,CTなどの審査および薬事承認までの時間を短縮し,機動性を高めること,(二)高品質で安全な医療機器を適正価格で,安定的かつ迅速に供給出来る体制を整えること─を要望.
 また,最近,混合診療の全面解禁を求める声が少なくないが,これには,公的医療保険を抑制し,民間市場を拡大しようとする意図が見えると指摘し,「国内医療機器産業の育成は,混合診療の全面解禁を前提としているのではないか」「米国など海外メーカーの参入を促すための政策にならないか」との懸念を示した.そのうえで,混合診療全面解禁の議論の前に,現在,厚生労働大臣の定める「評価療養」と「選定療養」は保険診療との併用が認められていることから,「現行制度の機動性を求めることで,さまざまな問題が解決出来る」と述べた.
 さらに,同副会長は,医療における規制改革の方向性について,特に医療ツーリズムに関する規制改革も混合診療の全面解禁とセットの議論であるとの認識を示し,反対する立場を明らかにした.
 講演に続く意見交換では,各議員から,混合診療の全面解禁に関する懸念が示され,評価療養の拡大で対応するべきとの意見が出された.
 一方,一部の議員からは,国の保険適用が適切に対応出来れば,混合診療の全面解禁により,公的保険の給付範囲が縮小されないのではないかとの質問が出された.これに対して,中川副会長は,混合診療の問題点として,安全性が事後確認であることを指摘.「財務省は,医療費の削減を行うため,評価療養を確信的に無視しているのではないか」と述べ,税制改正により,社会保障財源を捻出出来たとしても,混合診療の全面解禁を取り下げない可能性があることを示唆した.
 また,評価療養の拡大に向けて,海外の治験を参考にすることに対しては,「国により医療制度が異なるため,中医協を中心とした議論が必要である」と述べた.
 鈴木常任理事は,「医療機器の問題は,内外価格差とデバイス・ラグにある.中医協でも,医療材料専門部会等での検討では,少しずつ改善しているとの答弁はあるが,医療機器は,医薬品に比べて総額が少なく,目立ちにくい存在である.そのため,対応が遅れている感があり,やはり改善する余地があると考える.医療制度を検討するため,十カ国以上を訪れたが,日本の医療制度は世界一であり,混合診療の全面解禁により壊してはならない」と述べた.
 このほか,医薬品医療機器総合機構の改革について,「未承認薬のコンパッショネート・ユース(人道的使用)の導入も検討するべきでは」との質問に対して,中川副会長は,「まさに,評価療養の一つとして考えられ,安全性,有効性の確保を大前提として進めなくてはならない」と回答した.
 今回の意見交換の後,同ワーキングチームは,医療機器に関するマニフェストへの提言を取りまとめた.

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