日医ニュース
日医ニュース目次 第1170号(平成22年6月5日)

医療安全全国共同行動
2周年記念フォーラムを開催

医療安全全国共同行動/2周年記念フォーラムを開催(写真) 平成二十年五月にスタートした,全国の病院と医療従事者,病院団体・各種医療団体が力を結集し,八つの行動目標(下掲)を掲げて,医療に伴う有害事象の低減に取り組む医療安全全国共同行動の二周年記念フォーラムが五月十五日,東京都内で開催された.当日は,インターネットによる生中継も行われた.
 前半のシンポジウムでは,久史麿医療安全全国共同行動推進会議議長の開会あいさつに続き,原中勝征会長が,「人が足りない,お金が足りないというなかで,いかに患者を安全に守っていくか,昨今の日本の経済状況のなかで真剣に考えなければならない.この四月から日本医師会長に就任したが,医療関係者の努力が正当に評価されず,患者より強い立場から物事を見ていると誤解されている状況を一日も早く払拭したい.国民が生涯安全で安心な生活を送れる社会づくり,国民が本当に幸せと感じられる医療制度づくりに少しでも貢献したい.この共同行動が今後,どのような形であっても継続され,患者の安全が確保されることを祈念する」とあいさつした.
 その後,地域フォーラムの報告,講演,テレビ会議,応援メッセージの紹介等が行われた.
 地域フォーラムの報告は,岩手,沖縄,東京,神奈川の四都県からそれぞれ行われ,このうち岩手県からは岩動孝岩手県医師会副会長より,活動報告が行われた.
 講演では,まず高杉敬久常任理事が司会を務め,「医療事故情報収集等事業から学ぶもの」として,日本医療機能評価機構の野本亀久雄理事が,同事業の活動が薬のシートデザインの改善につながった例などを報告し,「正しい情報を一例でも多く報告してもらい,それをベースに正しい対策をつくっていきたい」と述べた.高杉常任理事は,日医で医療安全を担当することになったことを報告するとともに,今後いろいろと新しい試みが出てくることに期待感を示した.
 続いての講演では,井部俊子聖路加看護大学学長が座長を務め,「ひとは誰でも間違える─医療安全の基本と原則」と題し,自治医科大学の河野龍太郎教授が,訴求ポイントとして,(1)安全はない(2)完全な人間はいない(3)協力してエラーと戦おう!─の三点を挙げ,「合理的手抜きのすすめ」を説いた.
 次に,沖縄と北海道から,テレビ電話参加によるレポート報告が行われ,沖縄県立中部病院の平安山英盛院長と上原元副院長からは,侵襲的手技のライセンス制度や実技研修の様子,一方,夕張希望の杜夕張医療センターの村上智彦センター長からは,一人暮らし高齢者のためのいのちのバトン,口腔ケアによる誤嚥性肺炎防止等の取り組みが紹介された.
 後半のワークショップは,「A.中小規模病院の医療安全対策」「B.有害事象(事故・合併症)が発生した時の緊急処置」「C.患者さんは医療安全のパートナー」の三テーマに分かれて行われた.Aの会場は,インターネットでの参加も可能であり,メールで寄せられた質問に会場の講師が回答する場面も見られた.
 なお,この全国共同行動は当初二年間の期間限定で開始されたが,引き続き地域推進拠点や支援病院を募集し,地域でのフォーラム等を実施していくことになった.四月末時点での参加病院は六百五病院.
 詳細は医療安全全国共同行動のサイト(http://kyodokodo.jp/)を参照.

医療安全全国共同行動/2周年記念フォーラムを開催(図表)

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