日医ニュース
日医ニュース目次 第1170号(平成22年6月5日)

平成20・21年度
日医各種委員会答申・報告書(その3)

(全文は,日医ホームページ・メンバーズルームまたは女性医師のコーナー参照)

病院委員会審議報告
今後の病院病床のあり方─次期医療法改正を見据えて─

 病院委員会(委員長:大道久日本大学医学部(社会医学系医療管理学分野)教授)は,会長諮問「今後の病院病床のあり方─次期医療法改正を見据えて─」に対する審議報告を取りまとめた.
 審議報告は,(一)病院における医師の確保,(二)今後の医師養成のあり方,(三)今後の病院病床とその機能のあり方─を柱に構成されている.
 (一)では,平成二十年十月の「医師確保のための実態調査」のなかで,全国の臨床研修病院(単独型・管理型・協力型)を含む五千五百余の病院を対象に行った「病院調査」の結果から,日本全体の病院医師数に換算すると,約一万七千人が不足していると指摘.医師の偏在是正に関する方策が喫緊の課題であるとして,議論の経過を記している.
 (二)では,厚生労働省が平成二十年六月に医師養成数を増やす方針に転換したことを評価したうえで,五割増という引き上げ幅が妥当かどうかは,今後,検証する必要があるとの姿勢を示した.
 医師の需要予測に当たっては,医師が法定の労働時間で就労することを前提とする必要があるとし,現状のままただ医師数を増加させるだけでなく,医師の就業構造を適正化し,偏在の有効な是正策を講じつつ,需給の整合が図られていくべきであるとした.
 また,医師不足の背景には,限界を超えた医療費抑制策があるとして,医師養成のためのコストを含めた,応分の医療費増を求めるとともに,今後の臨床研修制度のあり方について言及している.
 (三)では,医療法における医師配置標準の見直しについて,今後の時代に適合した医療提供体制の全体像を明確にし,それを担う具体的な医療施設体系を想定しなければ,適切な人員配置や構造設備等の標準・基準は設定出来ないとし,具体的な検討を次期委員会に委ねている.
 このほか,「今後の医療提供体制の方向と当面の課題」「救急医療から見た急性期医療の現状の問題点と今後のあり方」「精神病床および精神科医療の今後のあり方」についての見解を詳述している.

男女共同参画委員会答申
女性医師への実効ある就業支援策を提言

 男女共同参画委員会(委員長:中川やよい大阪府医師会理事(当時))は,会長諮問「女性医師に対する実効ある就業支援策について」を受け,答申した.
 答申は,(一)女性医師の勤務環境整備,(二)必要とされる出産・育児支援策,(三)保育について,(四)意識改革─から構成されている.
 (一)では,日医が実施した「女性医師の勤務環境の現況に関する調査」の結果から,女性医師の勤務環境の未整備が明らかになり,出産・育児期の就業継続等を支援していくためにも,ワーク・ライフ・バランスを確保出来る働き方が喫緊の課題であると指摘.短時間正社員制度を始めとする多様な勤務体制の構築は,男性医師にとっても良好なQOLを得るために不可欠であるとし,複数主治医制の導入等についても提言がなされている.
 (二)では,産前・産後・育児休業中の身分保証等を取り上げ,出産・育児を経て勤務継続するために必要な支援策をニーズに応じて組み合わせることが望まれるとし,推進のためには,配偶者,上司等の協力が必要としている.つづけて,日医女性医師支援センターが運営している女性医師バンクの活動を紹介し,さらなる活用を求めることが,勤務支援,復帰支援を実現する大きな力になるとしている.
 (三)では,多様性のある保育サービスの整備が求められ,特に女性医師が利用しやすい保育システムの整備,現在利用可能な保育システムの有効な利活用が必要であるとして,保育システム相談員の養成と普及,各種保育サービスの整備と利用に対する経済的支援,院内保育所の拡充と既存院内保育所の相互利用,病児・病後児保育と二十四時間保育の普及について記している.
 (四)では,医学生への男女共同参画を意識した教育の導入,女性医師への支援が,すべての医師の勤務環境の改善につながるという男性医師の認識,育児にかかわる女性医師に対する病院長・管理者の支援,患者の適切な受診行動が自身を取り巻く医療環境を良好にするという社会の共通認識等が必要であるとして,意識改革の重要性を訴えている.

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