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第1183号(平成22年12月20日) |
第41回全国学校保健・学校医大会
「守ろう育てよう子どもたちの健康と生きる力─学校医からのメッセージ─」をテーマに開催

第四十一回全国学校保健・学校医大会(日医主催,群馬県医師会担当)が十一月二十日,「守ろう育てよう 子どもたちの健康と生きる力─学校医からのメッセージ─」をメインテーマとして,前橋市内で開催された.日医からは,原中勝征会長をはじめ,保坂シゲリ,石川広己両常任理事が出席した.
当日は,午前に五つの分科会(「第一:『からだ・こころ(一)』感染症・予防接種・生活習慣病」「第二:『からだ・こころ(二)』学校健診・健康教育」「第三:『からだ・こころ(三)』実態調査・こころ・性教育」「第四:耳鼻咽喉科」「第五:眼科」)が開かれ,研究発表が,それぞれ行われた.
つづいて,都道府県医師会連絡会議が行われ,次期担当県を静岡県医師会とすることを決定した.
学校・家庭・地域が一丸となった取り組みを─原中会長
午後には,開会式と表彰式が行われた.開会式であいさつした原中会長は,「幼少期から学齢期における健康教育,保健指導は極めて重要である.その一方で,社会環境の急激な変化を背景として,児童生徒の心身の健康に弊害をもたらす,さまざまな問題が顕在化してきている.その解決のためには,学校・家庭・地域が一丸となった取り組みが不可欠であり,学校保健関係者同士の密接な連携と一層の活躍を期待する」と述べた.
表彰式では,長年にわたり関東地区で学校保健活動に貢献した学校医(十名),養護教諭(十名),学校関係栄養士(九名)の各代表に対して,原中会長から表彰状が手渡された.
アレルギー疾患の現状と取り組みをテーマに
引き続き,「学校におけるアレルギー疾患の現状と取り組み」をテーマにシンポジウムが行われた.
シンポジウムに先立ち,「学校生活管理指導表に基づくアレルギー疾患の取り組み」をテーマに基調講演した荒川浩一群馬大学大学院教授は,日本学校保健会刊行の「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」の普及に向けて,群馬県医師会と教育委員会が県独自の要約版「学校生活管理指導表」を作成したことを紹介した.
(一)「学校における気管支喘息児の問題点とその対応」では,重田誠重田こども・アレルギークリニック院長が,高崎市の喘息の子どもにかかわる養護教諭,担任教諭,患者家族へのアンケート結果を用いて,学校と学校医の連携や運動誘発喘息の認知などを調査し,「喘息治療への啓発活動が必要」と述べた.
(二)「アトピー性皮膚炎は増えているか? 視て,触れた三十年間の学校健診から」では,倉繁田鶴子倉繁皮ふ科医院長が,前橋市学校保健会のなかに全国初の皮膚疾患対策部会を設置し,小中学校と高校の皮膚科検診を実施したことを紹介.「成人型アトピー性皮膚炎への移行を防ぐために,中学期の対処が重要な課題である」と述べた.
(三)「学校生活における食物アレルギー・アナフィラキシー 群馬県における現状と対応」では,前田昇三伊勢崎市民病院副医療部長兼小児科主任診療部長が,伊勢崎市の小中学校の食物アレルギー児童生徒の実態と小児科医の対応を調査.学校生活のなかで起こり得る食物原因のアレルギー症状として,「運動誘発性食物依存性アナフィラキシー等への注意が必要」と述べた.
(四)「学校におけるアレルギー疾患への対応」では,高橋慶子群馬県教育委員会スポーツ健康課主任指導主事が,「学校生活管理指導表」の作成や教職員への周知,啓発活動を紹介.指導表活用状況は,平成二十一年度百六件から平成二十二年三百三十四件になったことなどが報告された.
その後,特別講演「幕府の運命,日本の運命─小栗上野介の日本改造─」(村上泰賢曹洞宗東善寺住職)が行われ,次期担当都道府県医師会あいさつの後,大会は盛会裏に終了した.
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