日医ニュース
日医ニュース目次 第1184号(平成23年1月5日)

羽生田副会長・保坂常任理事
約270万人の国民の声を基にワクチン接種に係る要望書を細川厚労大臣に提出

羽生田副会長保坂常任理事/約270万人の国民の声を基にワクチン接種に係る要望書を細川厚労大臣に提出(写真) 羽生田俊副会長,保坂シゲリ常任理事は昨年十二月十六日,厚生労働省を訪れ,希望するすべての子どもが公費(定期接種)でワクチン接種を受けられる制度の確立を求める原中勝征会長,神谷齋予防接種推進専門協議会委員長連名による要望書を,細川律夫厚労大臣に手渡した.
 今回の要望は,日医が予防接種推進専門協議会とともに,九月から実施していた「希望するすべての子どもに予防接種を!」キャンペーンの一環として行っていた署名活動に,二百六十九万九千十九名もの署名が集まった(写真下)ことを基に行われたものである.
 要望書では,予防接種で防ぐことが出来る病気(VPD:Vaccine Preventable Diseases)のワクチンの多くは,海外においては定期接種として行われているにもかかわらず,わが国では,Hib(インフルエンザ菌b型),小児用肺炎球菌,HPV(ヒトパピローマウイルス),B型肝炎,水痘(水ぼうそう),流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)などのワクチンは任意接種となっているなど,日本の予防接種政策が世界から大きく遅れている実情があることを説明.そのうえで,予防接種法を改正し,地域間や経済的格差なく,希望するすべての子どもが公費(定期接種)でワクチン接種を受けられる制度を実現することは,多くの国民の希求であるとして,その実現を二百六十九万九千十九名の国民とともに強く要望するとしている.
 当日の要望書提出には,羽生田副会長,保坂常任理事のほか,梅村聡民主党参議院議員,神谷予防接種推進専門協議会委員長,岩田敏日本感染症学会・予防接種推進専門協議会副委員長,衞藤隆日本小児保健協会会長,鴨下重彦日本保育園保健協議会会長,和田紀之日本保育園保健協議会理事,五十嵐隆日本小児科学会会長が同席した.
 要望書を細川厚労大臣に手渡した羽生田副会長は,その内容を説明したうえで,「諸外国から大きく遅れている日本の予防接種政策を何とか前に進めていただきたい」と述べ,今回の要望書に対する理解を求めた.
 保坂常任理事は,「予防接種によって疾病を防ぐことによる経済的効果は単年度では分からないかも知れないが,長期的に見れば大変大きなものがある」として,予防接種の意義を強調.また,今回補正予算に盛り込まれた「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金」について一定の評価をしたうえで,定期接種化することによって公費による接種化を永続化するとともに,その対象を拡大させることを要望した.
 神谷委員長は,予防接種政策は長期的な視点の下に実施されなければならないとしたうえで,日本にもアメリカのACIP(予防接種諮問委員会)のような機関を設ける必要があるとした.
 梅村民主党参議院議員は,昨年発生した新型インフルエンザによって,国民の予防接種に対する注目度が高まっている今こそ,予防接種法の改正を含めた環境整備を推し進めていかなければならないとして,政府に対して協力を求めた.
 これらの要望を受けて,細川厚労大臣は,「二百七十万人もの国民の声を厚労省として重く受け止めている」としたうえで,補正予算に「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金」が盛り込まれたことに触れ,「これにより,子宮頸がん予防ワクチン,Hibワクチン,小児用肺炎球菌ワクチンの公費負担を実現することが出来たので,この効果などを見ながら,今回の国民の声をどう国の政策に反映させていけるか検討させて欲しい」と述べた.

ご賛同いただいた約270万名の署名

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