 |
第1190号(平成23年4月5日) |

3月9日
小児用肺炎球菌ワクチンおよびヒブワクチンを含む同時接種後の死亡報告と接種の一時見合わせについて

保坂シゲリ常任理事は,小児用肺炎球菌ワクチンおよびヒブワクチンを含む同時接種後の死亡報告と接種の一時見合わせについて,日医の見解を述べた.
同常任理事は,冒頭,今回報告された五例の亡くなった乳幼児に対し,「心から哀悼の意を表するとともに,ご家族の皆様にも心からお悔やみを申し上げる」と述べた.
そのうえで,その事実を重く受け止めつつ,すべての子どもを守るためには,冷静かつ真摯に,その内容について早急に科学的検討を加え,次に備えて行動しなければならないとの考えを示した.
また,肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの接種を一時見合わせることについては,厚生労働省が非常に迅速な対応をとったことを評価する一方で,ワクチンの接種を待っている子どもたちや医療現場のことを考慮し,なるべく早く検討を加え,今後について決定すべきとした.
三月八日に行われた,薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会と子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会の合同開催における検討については,「症例について検討すると,五例とも,予防接種との関係を明確に示すような内容は認められなかった」と述べた.そして,ただちに肺炎球菌ワクチンやヒブワクチンが危険なものであるとは言えないということは分かったが,まだ症例やその他の統計的な分析をするためには情報が足りないということで,もう少し情報を集めてから結論を出そうということになったと説明した.
さらに,同常任理事は,これまで日本の予防接種行政が,何かあるたびにゆっくり検討しようということで時間をかけてきた結果,世界との差がどんどん開いていき,約二十年のギャップがあるのではないかという状況に至っていると,日本の現状を説明.
そのうえで,ほとんどすべての関係者は,速やかに検討を行い,結論を出さなくてはならないと考えているとして,新しい情報を集めて,なるべく早い時期に再度検討会を開催してもらい,しかるべき結論を出したいとの意向を示した.
そして,最後に,同常任理事は「小児の死についての積極的な疫学調査がきちっと国として出来るような仕組みをぜひつくっていくように日医としても協力し,推進していきたい」と結んだ.
|