日医ニュース
日医ニュース目次 第1206号(平成23年12月5日)

保坂常任理事
小宮山厚労大臣,森文科副大臣等に予防接種や学校教育の問題で要望

小宮山厚労大臣(右)に要望を行う
保坂常任理事
 保坂シゲリ常任理事は十一月十七日,衆議院第一議員会館に小宮山洋子厚生労働大臣を訪ね,(一)幅広い健診への見直し,(二)予防接種についての継続した検討・提言組織の創設―の二点を要望した.
 (一)に関しては,(1)特定健診が始められたことで幅広い健診がむしろ出来なくなっていること(2)がん検診は市町村,特定健診は保険者が主体となって実施されているため,特に被扶養者の受診率が低下していること―等の問題点を指摘.国民のためにも,がん検診を含めた健診全体の見直しをすることを求めた.
 また,(二)については,予防接種の重要性を指摘した上で,予防接種に関して,継続的に検討し,提言出来るような専門家による組織を厚労大臣直属で創設することを要望した.
 この要望に対して,小宮山厚労大臣は「今回のご意見はしっかりと受け止めさせていただく.組織をつくったとしても,そこから出される提言に権威がなければ意味がない.どういう形があり得るのか省内で検討させていただく」と述べた.
藤田厚労政務官(左)に要望書を提出
 これに先立って,同常任理事は十四日には,厚生労働省を訪れ,藤田一枝厚労大臣政務官に,ワクチン接種緊急促進事業の継続に関する原中勝征会長名の要望書を手渡した.
 今回の要望書は,子宮頸がん予防ワクチン,ヒブワクチン,小児用肺炎球菌ワクチンが定期接種として実施されるまでの間,ワクチン接種緊急促進事業の継続により,多くの国民に公費による接種の機会が平等に保障されることを強く求めるものとなっている.
 同常任理事は,現場が混乱しないよう,出来るだけ早期に結論を出して欲しいと要望.また,今回の問題に関連して,予防接種の将来像を検討する常設の会議を創設することを求めた.
 藤田政務官は,「小宮山厚労大臣とも協議し,早期に結論を出したい.本日は貴重なご指摘をいただき感謝申し上げる」と述べ,今回の要望に理解を示した.
森文科副大臣(左)に要望内容を説明
 同常任理事は,また,十日には文部科学省を訪れ,森ゆう子文部科学副大臣に,学校教育において取り組むべき課題に関する要望を行った.
 同常任理事は,わが国においては,がん,放射線,予防接種,性教育等の健康保健教育が保健体育という限られた時間にしか行われていないことを指摘.早い時期から正しい知識を身に着け,理解を深めることが大事になるとして,初等,中等教育の中に授業時間とは別にこれらを教える場を設けることを要望した.
 がん教育については,学校保健会とがん関係学会が協力して,学校医が児童・生徒に対して,がん教育を行えるような仕組みづくりを求めるとともに,放射線教育に関しては,放射線についての正しい知識を持つことが,無用な不安を払拭し,被ばくに関連した差別をなくすために必要であり,学校医等による系統的,継続的な教育が早急に求められていると指摘.予防接種については,子宮頸がんの例を挙げて,予防接種の重要性を含む感染症予防に対する教育の充実を求めた.更に,性教育については,それをタブー視することなく,児童・生徒の発達段階に応じて,教職員・保護者・医療関係者が有機的に連携して取り組めるような仕組みづくりの実現を要望した.
 これらの要望を受けて,森副大臣は「本日ご指摘をいただいた点は大変重要なことばかりであり,可能な限り対応出来るよう努力したい」と述べるとともに,放射線教育に関しては,副読本を作成したことを紹介し,理解を求めた.

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