日医ニュース
日医ニュース目次 第1208号(平成24年1月5日)

プリズム

医神

 新年を迎え,初詣に出かけた方も多いと思う.農業神,漁業神,商売神,…多くの神々が存在するが,医神は? 私の県医師会では『大穴牟遅神』(オオナムチノカミ)が医神として祀(まつ)られている.
 『大穴牟遅神』とは出雲神話に登場する大国主(オオクニヌシ)の若い頃の名前である.古事記における『稻羽之素菟(いなばのしろうさぎ)』でウサギを助けたのが『大穴牟遅神』である.大国主は古事記のこの説話と,日本書紀における少彦名命(スクナヒコナノミコト:薬神)と共に病気の治療法を定めたとする記述から医療神とされたようである.
 一方,西洋ではギリシャ神話に登場するアスクレピオスは優れた医術の技を持ち,医神として医学の象徴的な存在である.その技術は死者をも生き返らせることが出来たという.アスクレピオスが持つ杖に蛇が巻きついていることより,蛇は日本医師会を始め,世界保健機関(WHO)や世界医師会,アメリカ医師会,そして救急隊など多くの医療関係機関のモチーフとなっている.医学部に入学した時に最初の講義で聴いた『ヒポクラテスの誓い』の冒頭「医神アポロン,アスクレピオス,ヒギエイア,パナケイア及び全ての男神と女神に誓う」のアポロンはアスクレピオスの父,ヒギエイアとパナケイアはアスクレピオスの娘たちである.
 それから長い年月が過ぎ,医療を取り巻く環境や制度が大きく変わっても,医療倫理の根本は変わらない.今年が良い年となりますように.

(み)

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