日医ニュース
日医ニュース目次 第1209号(平成24年1月20日)

中医協(12月21日)
診療・支払各側が 診療報酬改定に関する意見書を提出

中医協(12月21日)/診療・支払各側が 診療報酬改定に関する意見書を提出(写真) 中医協総会が昨年十二月二十一日,厚生労働省で開催され,診療・支払各側から,平成二十四年度診療報酬改定に関する意見書が提出された.
 意見書の中で,診療側は,国民の生命及び健康のために質の高い医療を安定的かつ持続的に提供するには,財政中立の下での病院・診療所間の財源の付け替え等による診療報酬改定や政策誘導的な診療報酬改定は到底認められないと指摘.その上で,平成二十四年度診療報酬改定においては,コスト等の根拠に基づいた診療報酬改定を進めることが不可欠だとして,(1)不合理な診療報酬についての見直し(2)あるべき医療提供コスト等(医業の再生産費用を含む)の適切な反映─等,五つの項目の実現に向けて取り組むことを求めた.
 一方,支払側は診療報酬全体の引き上げを行うことは国民の理解と納得が得られないとした上で,「医療機能に応じた診療報酬体系の確立」「在宅医療の充実」「急性期病院の勤務医・看護師等の負担軽減に資する評価の継続」等を要求.当日は,これらの意見に対する議論は行われず,森田朗会長は,次回以降,今回の意見も踏まえながら議論を深めていきたいとした.

医師偏在が進むことに懸念を表明―鈴木常任理事

 その他,当日の総会では,(一)平成二十四年改定に向けたDPC制度(DPC/PDPS)の対応,(二)平成二十四年度保険医療材料制度改革の骨子(案),(三)平成二十四年度薬価制度改革の骨子(案)―について議論が行われ,中医協として了承することになった.
 (一)に関しては,小山信彌DPC評価分科会長が分科会で検討した結果を説明.基礎係数設定のための医療機関群を「大学病院本院」「大学病院本院以外の高診療密度病院群(仮称)」「その他急性期病院群」の三群とし,機能評価係数IIのうち,複雑性指数,カバー率指数,救急医療指数,地域医療指数については各医療機関群の特性に対応した評価手法を導入するとした.
 議論の中で,鈴木邦彦常任理事は,「一定以上の医師研修の実施」が「大学病院本院以外の高診療密度病院群(仮称)」の実績要件とされていることについて,「医師の地域偏在解消に向け,日医は臨床研修の希望者数と募集定員を一致させることを提言しているが,DPCという診療報酬制度に研修医数が連動されることで,偏在の是正が進まなくなるのではないか」と改めて懸念を表明.更に,福島第一原子力発電所事故の影響により,福島,宮城,茨城各県では初期臨床研修医の数が激減していることを説明し,それへの配慮を求めた.これに対して,厚労省事務局は,医師の偏在の問題に関して,関係部署と連携しながら何らかの影響があった場合には速やかに対応したいと回答.また,原発事故の影響については,「厳しい状況にあることは理解している」として,実態を調査した上で,一定の配慮を行う考えを示した.

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