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第1209号(平成24年1月20日) |

熊本県医師会長 福田 稠

現代医学は日進月歩で,日々,高度化・先端化している.一方で,患者さんの消費者意識の高まりから,患者さんは,高度で先端的な医療と共に,きめ細やかな医療サービスを求めている.そこで,現在は,高度先端医療は基幹病院で,プライマリケアはかかりつけ医でと,病診連携という形で機能分担が行われている.勢い,生死に関わる重篤な疾患は勤務医が,日常的な軽い病気は開業医が診ることになる.すなわち,患者さんの生死については,その多くが勤務医に委ねられている.
現在,日医会員の約半数が勤務医であり,おおよそ十万人の勤務医が医師会に入会していない.何とかして,勤務医に医師会に入会し,エンパワーしてもらわなければ,医師会は医師会として体をなしているとは言えない.このままでは,医師会が医師の代表として社会にメッセージを発せないし,国民の共感も得られない.
そのためには,大幅な組織改革をして,役員や代議員に勤務医の枠をつくり,勤務医の出番をつくる.あるいは初代の日医会長北里柴三郎のように思い切って,日医会長に,勤務医にも納得してもらえるような,日本を代表する医師を選ぶ等,改革の方法はいろいろあろう.当然のことだが,勤務医には,日医が日本の医師の唯一の代表であるという共通認識の下,当事者意識,責任の自覚,応分の負担といった,組織の構成員として不可欠なものが求められる.
今年こそ,創造的医師会改革の第一歩を踏み出せることを祈っている.
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