日医ニュース
日医ニュース目次 第1211号(平成24年2月20日)

中医協(1月25・27・30日,2月1日)
地域医療貢献加算の名称変更・再編へ

中医協(1月25・27・30日,2月1日)/地域医療貢献加算の名称変更・再編へ(写真) 中医協総会が一月二十五,二十七,三十日,二月一日の四日間,厚生労働省で開催され,診療報酬改定に向けた個別改定項目並びに答申書の附帯意見に関する議論が行われた.
 議論の中で,鈴木邦彦常任理事は,度重なる医療費の削減によって,人材の確保が厳しくなっている診療所の現状を説明し,「このままでは地域から診療所がなくなってしまう」として,再診料を七十一点に戻すことを要求.これに対して,支払側は診療所機能の有効性は認めたものの,全体的な底上げにつながる再診料の引き上げには強く反対したため,結論は出ず,議論は平行線をたどった.
 なお,この問題に関連して,附帯意見には,「初再診料及び入院基本料等の基本診療料については,コスト調査分科会報告書等も踏まえ,その在り方について検討を行う」との文言を書き入れることが決まった.
 地域医療貢献加算については,評価体系を三分割(常時対応,準夜帯に対応,輪番制により対応)することを決定.安達秀樹委員は,本加算は準夜帯に対応しているところを評価することを目的として導入されたものであることを説明し,点数設定に当たっては,そのことを配慮した点数にすることを求めた.
 また,かねてから鈴木常任理事が求めていた名称の変更に関しては,「時間外対応加算」とすることで決着した.
 診療側が強く求めていた「同一医療機関で同一日に複数科を受診した際の再診料の見直し」の問題に関しては,当初からその見直しに反対していた支払側が,高齢者の負担が増大することがないような仕組みとすることを条件として,その見直しを了承.
 点数に関しては,支払側が算定は一回のみとするか,点数を五〇%未満にすることを求めたのに対して,診療側からは一科目の点数よりも減額することを受け入れる意見が出される一方,あくまでも回数や点数を制限せずに評価すべきとの意見も出され,結論は先送りとなった.

診療所医師の実態把握を要求─鈴木常任理事

 その他,鈴木常任理事は,四日間の議論において,(一)薬剤師の病棟配置の評価,(二)一般病棟入院基本料(十三対一,十五対一)算定病棟における特定除外制度の見直し,(三)療養病棟療養環境加算の見直し,(四)医療機器の価格等に基づく検査及び処置の適正化─等についても,その改善を求めた.
 (一)では,配置ありきではなく,あくまでもその業務内容を評価するものとすべきとするとともに,「対象は全ての病棟とするのではなく,急性期病棟のみとして試行的に実施すべき」と主張.(二)では,中小病院の医療経営への影響があまりにも大きく,日医にも多くの会員から不安の声が寄せられていることを紹介.十五対一病棟のみを対象とする等,現実的な対応を改めて求めた.(三)では,病院の建て替えが難しくなっている地域もあることを説明し,療養病棟を閉鎖してしまう病院が出てくることのないような配慮を要求した.
 (四)では,「データに信頼性のないことが明らかとなった非定点の医療経済実態調査の結果を基に,点数を引き下げようとしているのであれば問題である」と指摘.この件に関しては,安達委員も眼科が注目され過ぎだとして,反対する意向を示した.
 更に,鈴木常任理事は,「今回の改定は,在宅医療や休日・夜間の対応を評価するものとなっているが,これでは学校医等,公衆衛生活動に取り組む診療所の医師が少なくなる恐れがある」と指摘.附帯意見に診療所の実態を把握するための調査を実施することを盛り込むよう求めた.
 二月一日の議論で,個別改定項目に関する議論を終えたことから,次回の総会には,具体的な点数の入った答申案が示されることになっており,了承されれば,同日に小宮山洋子厚労大臣に提出されることになる(その模様は本紙三月五日号に掲載予定).

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