日医ニュース
日医ニュース目次 第1220号(平成24年7月5日)

中医協(6月6日)
栄養管理実施加算の問題点の改善を要求―鈴木常任理事

中医協(6月6日)/栄養管理実施加算の問題点の改善を要求―鈴木常任理事(写真) 中医協診療報酬基本問題小委員会が六月六日,厚生労働省で開催され,基本診療料のあり方に関する二回目の議論が行われた.
 厚労省事務局は,当日の基本小委に,今後の議論の進め方として,「次期改定に向けて具体的な検討を進める事項」と「引き続き十分な検討を要すると考える事項」を整理した上で検討することを提案し,了承された.
 議論の中で,鈴木邦彦常任理事は,管理栄養士の配置が入院基本料の算定要件となったことについて,「算定要件とする際に,有床診療所の栄養管理実施加算の算定状況を調査したのか疑問に思わざるを得ない.有床診は医療資源の少ない地域でも重要な役割を果たしているが,そのような地域においては管理栄養士も少なく,雇うことが出来ない.管理栄養士がいないというだけで,入院基本料を算定出来ないことになれば,経営が厳しくなり,有床診は潰れてしまう」として,次期改定までの二年間,三月三十一日時点で「栄養管理実施加算」を算定していた有床診にも経過措置を設けるよう要望した.
 これに対して,厚労省事務局は,鈴木常任理事の懸念に一定の理解を示した上で,算定要件を満たすことが出来なくなった場合には三カ月の猶予期間を設けていること等を説明.算定要件が満たせなくなった有床診が出た場合には,その時点でその対応を考えたいとした.

コスト調査実施の結論は出ず

 鈴木常任理事は,また,診療所と病院では基本診療料の重みが違うとしてその検討の必要性を指摘するとともに,コスト調査に関しては,「診療所は多様性が大きいことから,その対象とすることは難しい.実施するのであれば,大病院を対象とすべき」と主張.更に,全てがコストありきではなく,地域医療を守る観点からの検討も必要だとした.
 コスト調査に関しては,その実施を強く求める診療側に対して,支払側はその必要性を全面的に否定したことから,議論は平行線をたどった.そのため,森田一朗基本小委委員長は,当日の議論の状況を踏まえて,診療・支払両側に対して,何を議論すべきか等を含め,基本診療料に関する考え方を示すよう要請し,了承された.
 その他,当日は,総会と薬価専門部会も行われた.
 総会では,医療機器(C1区分:一品目,C2区分:二品目)の保険適用について審議が行われ,中医協として承認することになった.
 議論の中で,安達秀樹委員は,「医療機器の値付けに当たって,アメリカとオーストラリアの間で自由貿易協定が締結されて以降,オーストラリアにおけるアメリカ製品の値段が高くなる傾向があることに注意を払う必要がある」と指摘.また,アメリカとその他の国で値段が大きく違う場合には,その理由を把握した上で議論して欲しいと要望した.
 総会では,また,厚労省事務局から,(一)DPCデータの提出の現状,(二)岡山県の一医療機関が廃院を理由として,DPC制度から退出したこと―について,報告がなされた.
 厚労省事務局は,(一)に関して,評価の前提となるDPCデータの提出が大事であることから,改めて注意喚起するため,遅延している医療機関を公表したと説明.その原因については,多くが単純ミスや認識不足によると考えられるとした.これに対して,診療側は,資料に遅延した医療機関の具体名が示されたことに反発し,公表に当たっては慎重な対応を求めた.

長期収載品の薬価引き下げを─安達委員

 薬価専門部会では,厚労省事務局より平成二十四年度の薬価制度改革の概要について説明があった他,今後の検討予定等について議論が行われ,これを了承することになった.
 検討項目としては,(一)長期収載品の薬価のあり方等(長期収載品の価格,後発医薬品の新たな目標等),(二)次期薬価制度改革に向けた検討事項(新薬創出・適応外薬解消等促進加算の検証,外国平均価格調整)―等が挙げられている.
 安達委員は,後発医薬品のある長期収載品の特例引き下げにより捻出された財源が診療報酬の改定財源とならないことを疑問視するとともに,長期収載品の価格がなぜ後発医薬品の価格と同等にならないのか議論すべきだと主張した.

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