日医ニュース
日医ニュース目次 第1231号(平成24年12月20日)

私もひとこと

滋賀県医師会長 笠原 

 初病院勤務は医療活動の出発点である.大学で医学を学んで,医師免許を獲得したからといって,日々の医療が一人で出来る訳ではない.先輩医師や看護師,多くの医療従事者と共に,疾病や命との闘いが始まり,技術,本質を学んでいく.
 医療はアート,人間に対して,総合芸術的医療を提供する技量が出来,初めて医療者として完熟してくる.この道は簡易ではない.専門医が,その分野で最新医学や技量があっても,それで医療要求の全てをカバーすることは出来ない.人間への愛で,その人の大小の苦しみ全てを支えることで,真の医療となる.それを勤務医初期のチーム医療で学ぶ姿勢が,日本の医療の基盤である.素晴らしい力の原点.
 特に,多くの勤務医から,医師会に入会しても何のメリットも無いと言われる.そこで考えて欲しいのは,医師会組織無しで国民医療の方向性を誰が決めるのか? 個々の医師が叫び声を上げたら,政治家や官僚が耳を傾け,医療制度が守られるのか? 地域の医療関係団体の中心となり,社会の安心を作り出せるのか? 団体組織であるが故に,これまでその機能を発揮出来た.活動に自主的・主体的に参加している現医師会員があり,非会員は他人の会活動に甘えて,医療・経営を守る御零(おこぼ)れをもらっていないのか.個々の医師全てが自覚して自ら医療を守る,メリットを作る側に回って欲しい.医師会は単に開業医を代表する会ではなく,医師全体の主張をまとめる会を目指している.認識が欲しい.
 もちろん,さまざまな理由があり,医師会へ入れない医師もいる.問題点を解して,全員入会を目指して,滋賀県医師会は今,関係者間で協議に入っている.現在は,当県の勤務医の入会率は二八%である.

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