日医ニュース
日医ニュース目次 第1234号(平成25年2月5日)

視点

7ワクチンの定期接種化を目指して

 これまでも,日本のワクチン政策が諸外国に比べ遅れており,有用なワクチンの導入,あるいはそのワクチンの定期接種化を阻害していることが指摘され続け,これらワクチンギャップの解消が医療現場等から求められてきた.
 一方,昨年五月二十三日に開催された第二十二回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会において「第二次提言」が取りまとめられ,その中で「予防接種法の対象となる疾病・ワクチンの追加」として「医学的・科学的観点からは,七ワクチン(子宮頸がん予防,ヒブ,小児用肺炎球菌,水痘,おたふくかぜ,成人用肺炎球菌,B型肝炎)について,広く接種を促進していくことが望ましい」ことが明記された.
 また,昨年の総選挙において,自由民主党が公表した「政権公約 J─ファイル二〇一二」では,ワクチン施策の推進として「現在,任意接種となっている子宮頸がん予防ワクチン,肺炎球菌ワクチン,ヒブワクチン,おたふくかぜワクチン,水痘ワクチンの定期接種化も含め感染症予防を促進するなど,新たなワクチン政策の確立と推進体制を構築します」としている.
 このような状況の中,日医は予防接種推進専門協議会との共催により,予防接種法の速やかな改正によるこれら七ワクチンの定期接種化を実現するための署名活動を全国展開している.
 平成二十一年度に実施した同様の署名活動の際には,約二百七十万人の方々にご署名頂いており,これらの活動が現在実施されているHPV,ヒブ,小児用肺炎球菌の三つのワクチンの公費助成につながったものと認識している.
 今こそ,第二次提言に沿った予防接種法の改正を実現し,わが国のワクチンギャップを埋める千載一遇のチャンスだと強く認識している.
 加えて,政府には予防接種の重要性に関する国民の理解を一層深める努力,更には第二次提言に示されたように,予防接種施策全般について中長期的な課題設定の下,科学的な知見に基づき,総合的・恒常的に評価・検討を行い,厚生労働大臣に提言する機能を有する評価・検討組織の設置等についても求めていきたい.
 少子化傾向が続くわが国で,次世代の健やかな成長を図るためにも,より多くの子ども達が予防接種を受けられる環境を早急に整備する必要がある.
 改めて全国の医師会員の先生方に,署名へのご協力をお願いする次第である.

〔常任理事(感染症危機管理対策室長)・小森 貴〕

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