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第1237号(平成25年3月20日) |
平成24年度 女性医師支援事業連絡協議会
ブロック別に「女性医師支援」の取り組み等を報告

平成二十四年度女性医師支援事業連絡協議会が二月二十二日,日医会館大講堂で開催された.
小森貴常任理事の司会で開会.冒頭,あいさつに立った女性医師支援センター長の羽生田たかし副会長は,「日本医師会女性医師支援センター事業」の中核である「日本医師会女性医師バンク」について,「医師がコーディネートするという取り組みは,日本全国広しといえど日医の女性医師バンク以外にはなく,各地でご協力をいただく中,事業が展開している」とした.更に,自身が参加している内閣府の男女共同参画推進連携会議において各種団体の取り組み等をヒアリングしているが,日医の取り組みは相当進んでおり,他の事業所等からも問い合わせがあるとして,関係者の支援に謝意を表した.しかし,広報がまだ十分ではないことを指摘し,求人延べ四千弱,求職延べ七百弱という現在の登録件数が少なくとも五倍になれば,もっと再就業等の事業が進むのではないかとの考えを示した.その上で,本年度六ブロックで開催された「女性医師支援センター事業ブロック別会議」での特徴ある取り組み等について,「本連絡協議会での発表を他の地域でも活用して事業展開していただきたい」と述べた.
「女性医師支援センター事業ブロック別会議」の開催等を報告
続いて,六ブロック(北海道・東北,関東甲信越・東京,中部,近畿,中国四国,九州)八道府県医師会(北海道,群馬県,富山県,石川県,福井県,大阪府,徳島県,沖縄県)から,「女性医師支援センター事業ブロック別会議開催報告」として,各ブロック会議の総括や特徴的・先進的な取り組み等が紹介された.
北海道・東北ブロック:藤井美穂北海道医常任理事は,(1)育児サポート事業(2)復職サポート事業(3)相談窓口事業―を柱とする「北海道医師会女性医師等支援相談窓口事業」について報告した.更に,さまざまな場所・場面におけるノベルティ並びにPR用チラシ・ポスターの配布,道医師会役員によるPR用名刺を用いた広報活動や,青森県の活動を参考にした「臨床研修指定病院訪問」,道医師会が独自に企画し,地元メディアも巻き込んだ「医学生との座談会」,将来の地域医療を担う人材育成につなげるための「医療体験学習会」の他,広範な北海道の地域医療をも視野に入れた新たな構想案についても説明した.
関東甲信越・東京ブロック:今泉友一群馬県医理事は,「群馬県医師会保育サポーターバンク」の概要を説明した.これは,山口県医師会の活動を手本として考案され,育児支援を必要とする女性医師に対し,子育て支援相談員が,そのニーズに沿った保育サポーター等の情報提供・紹介を行い,就業継続を支援するもので,平成二十三〜二十五年度は県地域医療再生基金による補助事業であったが,二十六年度以降は県の補助金事業となるよう折衝中であるとした.
中部ブロック:市田蕗子富山大学医学部小児科准教授は,文部科学省「周産期医療環境整備事業」として,富山大附属病院・院内保育所「スマイルキッズ」(二〇〇七年),女性医師支援室とベビーシッタープーリングシステム(二〇〇九年),病児・病後児保育室「たんぽぽルーム」(二〇一〇年)などの富山大学での取り組みについて概説し,これらの環境整備により,周産母子センター女性医師のほぼ全員(九二%)が職場復帰しているとした.
次に,魚谷知佳石川県女性医師支援センターコーディネーターは,「石川県女性医師支援センター活動報告」として,(1)メンター制度(2)ライフワークバランス―について説明.(1)は,県内研修医療機関にメンター(助言者)を委嘱したことで,現場の女性医師に連帯感が生まれたこと,(2)は,早い時期での教育が必要だとして,医学部六年生を対象に「医師のキャリアアップと継続」という授業を行っていること等を報告した.
続いて,月岡幹雄福井県医理事は,共働き世帯の割合が全国一位という福井県における「復帰支援」「医学生,研修医等をサポートするための会」「ママドクターの会(情報交換会)」などの年度別実績を説明した.
近畿ブロック:上田真喜子大阪府医理事は,近畿各府県医師会(兵庫・滋賀・奈良・和歌山・京都・大阪)の特性を生かした「女性医師支援事業」の展開について報告した他,ブロック会議での意見交換で,「潜在女性医師の問題」「民間斡旋(あっせん)業者の利用は高額」「勤務医会員の勤務先異動時の入退会手続きの簡素化」等の声が寄せられたとした.
中国四国ブロック:岡田博子徳島県医常任理事は,昨年の医学生,研修医等をサポートするための会で使用したスライドを基に,県医師会のサポートシステムについての広報や,女性医師支援ブック『un deux trois〜アン ドゥ トロワ〜』について報告した.
九州ブロック:依光たみ枝沖縄県医女性医師部会長は,「沖縄県女性医師部会 ヒストリー」と題して,部会発足からの歩みと,役員全員で役割分担して行っている活動内容について報告し,特に,メーリングリスト(登録者数:二百五十名)による情報提供が大きな成果を上げているとした他,女性医師の働きやすい環境を整えるために,県医務課の職員も交えて,「病院長等との懇談会」を毎年開催していることを紹介した.
質疑応答・総合討論では,各ブロックからの報告のうち,特徴ある活動に対しての質疑が多く出され,事例発表者らが丁寧に回答.医師会が主体的に運営すること,行政やメディアを交えた活動の重要性等について活発な意見交換が行われ,協議会は盛会裏に終了となった.参加者は,百三十八名であった.
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