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第1243号(平成25年6月20日) |
社会保障審議会介護給付費分科会(5月31日)
介護従事者の処遇調査,介護報酬改定の効果検証調査について検討

社会保障審議会介護給付費分科会が五月三十一日,都内で開催された.
当日は,「平成二十四年度介護従事者処遇状況等調査」「平成二十四年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成二十四年度調査)」の結果が示された.
「平成二十四年度介護従事者処遇状況等調査」は,介護老人福祉施設,訪問介護事業所などの施設・事業所並びに介護従事者を対象に,平成二十四年度改定において交付金から加算に変更となった介護職員処遇改善加算が,介護従事者の処遇改善に反映されているか検証するために行ったもの.
調査結果では,介護職員処遇改善加算の届出をしている事業所は全体の八六・七%であり,届出をした事業所では,介護職員の平均給与がおおむね上昇していることが示された.
委員からは,介護療養型医療施設のみ五五・三%の低い届出率であったことに対して質問が出され,厚生労働省事務局からは,「加算の対象に職種の制約があるため,他職種との兼ね合いから届け出しにくい状況があったと想定される」との回答があった.
介護の未来を論じるため調査回収率アップを
続いて,「平成二十四年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成二十四年度調査)」では,「サービス付高齢者向け住宅等の実態」など六つの効果検証事業,「認知症対応型共同生活介護のあり方」など五つの研究事業に関する結果が示された.
高杉敬久常任理事は,調査結果について,「グラフなどで視覚化されると,回収率が二〇%台の調査であっても,あたかも全容を示したように捉えられてしまう」と指摘.「介護の未来を論じるためにも,次回の調査では回収率を高めて欲しい」と要望した.
今回の委員からの意見を受けつつ,今年度実施する調査等についての説明があり,調査実施がおおむね了承された.
「平成二十五年度介護従事者処遇状況等調査」では,終了となった介護職員処遇改善交付金などを外した八項目を調査する.「平成二十四年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成二十五年度調査)」では,新たに,「集合住宅における定期巡回・随時対応サービスの提供状況」「訪問介護サービスにおける短時間の身体介護の提供状況」「リハビリテーション専門職と介護職との連携」に関する調査を追加して,十一項目について調査・研究事業を行う予定.いずれも,本年十月に調査を実施し,集計等を経た後に,平成二十六年三月以降に本分科会に報告されることになっている.
また,同日は「特別養護老人ホームの内部留保」について調査報告があった.
調査は,特別養護老人ホーム,介護老人保健施設,介護療養型医療施設を対象として,平成二十三年度末の財務諸表を基に,内部留保の定義付けなどを示した上で行われたもの.調査結果では,特別養護老人ホーム等の一施設当たり平均の発生源内部留保額は約三・一億円,実在内部留保額は約一・六億円であった.更に,独自モデルに基づき特養の内部留保の多寡を判定したところ,少ない(五二・五%),中間レベル(一四・六%),多い(三二・八%)との判定であった.また,社会福祉法人による低所得者の負担軽減制度の実施状況との関係は,いずれも見られないとの結果が報告された.
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