日医ニュース
日医ニュース目次 第1243号(平成25年6月20日)

プリズム

笑い

 笑いは人間関係において大きな役割を演じる.笑いの表情は,表情筋の微妙な動きの組み合わせなどにより表出されるが,中でも大頬骨筋,眼輪筋,皺眉筋,口角下制筋の役割が大きい.一般に笑うと大頬骨筋が収縮し,口角を上外側へつり上げる.左右対称に収縮すると自然で美しい笑顔を形作るが,収縮の左右差が強いと皮肉,不敵,攻撃的な笑いと捉えられることがある.
 眼輪筋は目の周囲を囲むように位置するが,笑うと外側の眼輪筋が適度に収縮することにより,目を細め目尻に皺(しわ)を作る.しかし,快の感情を伴わない作り笑いなどでは収縮が弱く,いわゆる目が笑っていない表情になる.皺眉筋はその名のとおり眉間に縦皺を作る筋肉であるが,笑いに際してはリラックスした状態であり,収縮する場合は主に苦笑いである.むしろ苦渋の表情などでは強く収縮する.口角下制筋の収縮は笑いを一瞬にキャンセルする.
 一方,笑いには多くの種類があるが,大きく分けると快の笑い,社交上の笑い,緊張が緩和した時の笑いなどがある.社交上の笑いは,相手に対して協調の気持ちを表したり,失敗を笑ってごまかすなど,人間関係を円滑に行う上で重要であるが,時に冷笑のように相手を攻撃する笑いもある.その他に,統合失調症などで見られるその場にそぐわない空笑,脳血管障害などで見られる強制笑いなどは病的な笑いとされている.
 笑いの表情を形作ることにより,気持ちが楽しくなることもあるようである.

(榮)

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