日医ニュース
日医ニュース目次 第1252号(平成25年11月5日)

平成25年度 都道府県医師会 検案担当理事連絡協議会
検案担当医の連絡調整のための全国的な組織づくりを目指して

平成25年度 都道府県医師会 検案担当理事連絡協議会/検案担当医の連絡調整のための全国的な組織づくりを目指して(写真) 平成二十五年度都道府県医師会検案担当理事連絡協議会が十月九日,日医会館小講堂で開催された.
 本協議会は,九月二十二日に発展的解散を決定した日本警察医会を日医が引き継ぎ,日頃から警察に協力して検視立会や検案などを担当している医師との連絡調整を行う全国的な組織を平成二十六年を目途に日医内に設けるため,各都道府県医師会と共に準備を進めるべく開催されたものである.
 高杉敬久常任理事の司会で開会.あいさつに立った横倉義武会長(今村聡副会長代読)は,「亡くなられた方のご遺体の正確な検査,身元の特定,そして死因を正確に診断する検案は故人に対する最後の医療であり,決しておろそかにしてはならない.検案医を養成し検案体制を整えることは,喫緊の課題である.来年度から日医が取り組もうとしている各都道府県医師会の協力の下での『警察に協力する医師の全国組織化』の事業は,社会的に意義のあるものと考える.医師会主導による検案業務の円滑な実施にご尽力賜るようお願いする」と述べた.
 続いて,講師から二題の講演が行われた.

「内閣府死因究明等推進会議等における議論」

 安森智司内閣府大臣官房審議官死因究明等推進会議事務局長は,死因究明等推進計画検討会での中間報告書を示しつつ,現在まで十一回の検討を重ねてきたと報告.
 報告書は,関係行政機関等への提言として,「人材育成」「施設等の整備」「制度の整備」を柱に検討しているが,「人材育成」の中に,「検案する医師のネットワークを強化するために,日医において連携強化を図るための組織化」が記載されているとして,日医への期待を示した上で「本協議会の開催により,その第一段階のスタートが切れたのではないか」と述べた.
 安森氏はまた,「能力のある医師が検視に臨場し,そこで警察と情報交換することで,大きな間違いが起こらない体制づくりが出来ると考えており,全体の流れを引き続き検討していきたい」とした.

「警察における死体取扱状況及び死因・身元調査法の施行状況等」

 檜垣重臣警察庁刑事局捜査第一課検視指導室長は,警察における死体取扱業務の流れを説明した上で,警察が医師に協力を求める事柄として,「死体調査等時の立ち会い」「死者の診療情報の提供」「死因・身元調査法第五条第一項の検査の実施」を解説.
 また,本年四月から施行された「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律」について,四〜六月に本法律に基づく解剖が全国で四百九十七件実施された状況を示し,「本法律が効果的に活用出来るかどうかは,医師の協力にかかっている」と述べ,医師の理解と協力を要請.更に,大規模災害発生時の検視・検案の重要性を示し,協力を呼び掛けた.

「日医による警察活動に協力する医師の全国組織化」

 今村副会長は,警察活動に協力する医師の全国組織化の検討の中で,平成二十二年に行った「警察活動に関連する医療業務に携わる医師の実態調査」から,各都道府県によって,組織名や警察医組織の設置場所,業務内容にばらつきがあることを示した.更に,同調査では,日医が警察医に関わることへの期待や警察医組織強化の要望があったことを受け,日本警察医会と協議を行い,今回,日医による新たなる全国組織化を行うことになったとその経緯を説明した.
 日医による全国組織化に向けては,都道府県医師会の協力の下に「日医で警察活動に協力する医師の連絡協議会を開催」「日医に警察活動への協力業務について検討する委員会を設置」「医師会が開催する『死体検案研修会』による質の担保」を行うことを提案.
 更に各都道府県医師会が行う今後の準備として,「既存組織との調整」「警察活動に協力する医師の部会の設置」「検視立ち会い等の警察協力をする医師のリストの作成」を挙げ,協力を要請した.
 日医の今後の計画としては,本年十二月頃までに全国組織化に向けた事業計画案・予算案を確定し,平成二十六年四月に連絡協議会事務局を設置.同年秋頃に第一回総会,学術集会を開催し,平成二十七年以降に分科会等の設置なども検討する予定となっている.
 今村副会長は,医師リストの作成の要請について,「喫緊の課題である大規模災害への備えとして,検視検案体制の確立や都道府県単位での派遣体制の準備を進めて欲しい」とし,具体的な方策については,日医に新設する検討委員会で協議することを示した.

既存の体制を壊すわけではない

 質疑応答では,研修におけるe-learningの導入の提案,臨場での研修の実施,他職種や他学会との連携などについて質問が寄せられた.
 更に,都道府県医師会内に「警察活動に協力する医師の部会」を設置することについて,これまでの警察との協力関係が壊れることを不安視する意見に対して,今村副会長は,「都道府県の中でしっかりと築かれている体制を壊して,新しい体制をつくって欲しいわけではない」と理解を求めた上で,「既存の体制を利用し,警察医会の事務局機能を医師会が担っている場合はそのまま継承し,警察が担っている場合は,都道府県医師会も積極的に関わって欲しい」とした.
 高杉常任理事は,「検案担当理事連絡協議会は,今日からスタートするものであり,いろいろ議論をしながら進めていきたい.既存のものを壊すわけではなく,各都道府県の取り組みを伸ばしながら,全国でうまく連携出来るシステムをつくっていきたい」との考えを示した.
 活発な議論の後,今村副会長の総括で会は終了となった.

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