日医ニュース
日医ニュース目次 第1253号(平成25年11月20日)

第66回日本医師会設立記念医学大会 受賞者の功績紹介

 日本医師会最高優功賞のうち,都道府県医師会長推薦による「医学,医術の研究又は地域における医療活動により,医学,医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し,特に功績顕著なる功労者」と,その受賞理由を紹介する.

産業保健活動の推進に貢献した功労者
皆川 憲弘 先生(74歳 茨城県)

 茨城県医師会役員として,地域医療の諸問題に対応するため,茨城医学会内に地域医療分科会を新たに設置するなど,在宅医療・介護問題等に対して早くから対策を講じた.
 また,認定産業医の資質向上に積極的に取り組み,若手医師の認定産業医育成に力を注ぐとともに,水戸地域産業保健センター長として,産業保健や産業医学を多くの会員に理解してもらえるよう尽力し,産業医の地位の発展及び増加と質の向上に努めた.

地域医療体制の整備及び保健事業に貢献した功労者
彦 先生(74歳 埼玉県)

 埼玉県民を対象に,生活習慣病予防講習会や県民フォーラムを開催.また,県内におけるがん検診事業従事者の資質及び検診の質の向上を図るため,各種がん検診及び肝炎の検査等に関する総論や診断方法等に関するセミナー等を開催するなど,県民の疾病予防に多大に貢献している他,県立がんセンターと協力し,県内5大がんの地域連携手帳の作成に尽力.本手帳は,現在,県内で統一パスとして使用されている.

C型肝硬変症からの肝発がん予防に貢献した功労者
多羅尾 和郎 先生(73歳 神奈川県)

 C型肝硬変症からの肝がん発がん機序の解明及びそれに基づく肝発がん予防について28年間にわたり研究を行い,C型肝硬変症からの肝がん発生には母地肝硬変症の炎症の程度が密接に関係していることを証明し,臨床現場に還元した.その研究結果は,各種新聞紙上に取り上げられた他,全国各地で講演を行うことで,知識の普及が図られ,全国レベルでのC型肝硬変症からの肝がん発生防止に多大な貢献をした.

母子保健・周産期医療に著しく貢献した功労者
中村 彰 先生(79歳 石川県)

 日本産婦人科医会石川県支部長として,子宮がん検診の推進や精度管理の充実向上に貢献するとともに,石川県医師会役員として,医事紛争問題の解決や母子保健・周産期医療の推進等に尽力.また,公的機関の保健関係委員等の活動を通じ,子宮がん・乳がん検診の長期低落傾向への歯止め及びがん検診の一般財源化以後の受診率落ち込み防止に向けた功績は極めて多大.

地域医療の向上及び保健衛生活動に貢献した功労者
山内 英通 先生(72歳 岐阜県)

 健診事業に積極的に取り組み,自院に人間ドック・検診センターを設置.生活習慣病検診の実施機関として,事業所検診にも重点を置くとともに,特にがん検診を通じた患者の早期発見・早期治療に尽力した.
 また,岐阜地域産業保健センター運営協議会委員及び所長を歴任.地域の産業保健活動の推進に尽力し,中小零細企業に従事する労働者の健康管理とその増進に貢献した.

介護支援体制の確立に貢献した功労者
久保 公昭 先生(79歳 三重県)

 伊勢市医師会副会長在任時,今後の高齢化社会では,保健,医療,福祉を包括する地域に応じたシステムの確立が必要かつ急務であると考え,「社会福祉法人伊勢医心会 特別養護老人ホーム神路園」を開設.その後,南勢地区で初めての老人訪問看護ステーションを設立する等,高齢化社会を見据えたシステムの構築は,現在に至る基盤を築き,地域医療の発展に多大に寄与している.

社会福祉活動の推進に貢献した功労者
谷本 吉造 先生(75歳 大阪府)

 地区社会福祉協議会が行う老人福祉センターでの老人健康相談,保健福祉センターでのポリオ,BCG接種,大阪市救急医療事業団が行う休日急病診療所への出務,大阪中央地域産業保健センターの産業医による健康相談等,長年にわたり出務協力を行っている.
 また,平成15年,原爆在外被爆者への援護に関する法律が施行され,海外から多数の被爆者が来日した際には,その診察を自院で行う等,国際的な社会福祉活動にも尽力した.

公衆衛生の向上に貢献した功労者
尾崎 馨 先生(76歳 兵庫県)

 長年にわたり医師会事業の円滑な推進に尽力するとともに,保健行政の運営に努め,予防接種や乳幼児健診事業等,行政と医師会の連携を進め,地域の公衆衛生の向上に大きく寄与.
 また,看護専門学校長を務め,看護師の育成に尽力するとともに,兵庫県社会保険診療報酬審査委員として,適正・円滑なる保険診療の運営の充実を図り,保健事業の発展に多大な貢献をした.

検診事業の普及・推進に貢献した功労者
西尾 功 先生(79歳 奈良県)

 奈良市総合医療検査センター局長在任中,奈良市が全国政令中核市中,精密検査受診率がワースト3であったため,全ての検診従事者に,精密検査受診の積極的な勧奨及び実施を働き掛けた.また,専門である消化器外科の観点から,市の大腸がん検診実施要綱に,陽性者追跡調査の義務付けを明記し,積極的に追跡調査を行い,平成8年当時41%の精密検査受診率を24年には60%台に上昇させた.

病理学を通じて地域医療の向上に貢献した功労者
元井 信 先生(74歳 広島県)

 年間約7万5,000件の病理組織検体及び細胞診検体の診断や術中迅速診断を実施.全国的にもまれな市医師会立の病理解剖室を設置し,解剖後は病理解剖についての検討会も行う等,死因究明に努め,地域の医療安全や無用な医療紛争の未然防止に大きく貢献.
 また,細胞検査士の人材育成に取り組み,健診センター内で細胞診断学の勉強会を毎月開催.多数の新人細胞検査士を誕生させた他,細胞診専門医(指導医)の指導育成にも尽力した.

救急医療体制の確立に貢献した功労者
福田 俊郎 先生(74歳 長崎県)

 開業医として,佐世保市内の救急医療体制の整備・充実の必要性を痛感し,二次救急病院体制の発足に合わせて,二次救急輪番病院として救急医療体制の構築に参画.二次救急輪番病院長会議では,同市内の円滑な救急搬送体制の確立に向けた「救急医療体制に関する実施骨子」の作成やシステム構築に積極的に取り組む等,同市における円滑な救急医療体制の確立並びに整備・充実に努めた.

離島医療に著しく貢献した功労者
田上 容正 先生(78歳 鹿児島県)

 診療科が限られ,鹿児島市内まで船便で4時間以上かかる等劣悪な医療環境の中,県本土並みの医療サービスの実現を目指し,鹿児島大学,熊本大学に働き掛け,昭和54年に医師派遣を実現.現在では診療科目も増加し,204床の地域中核病院として24時間島民の医療の拠り所となっている.
 更に平成3年には,介護老人保健施設を開設し,高齢化社会への対応も実践した.

医師会活動を通じて看護師養成に貢献した功労者
友寄 英毅 先生(77歳 沖縄県)

 沖縄県医師会常任理事として,会内はもとより,関係団体との調整窓口となり,会務運営・事業推進の要役として多大な貢献をした.平成5年の那覇看護専門学校移転・新築の際には,建設費捻出調達確保から教務職員確保等にまで尽力するとともに,地域医療のニーズに応え,正看護師課程を新設した. 
 また,学校長として,教務職員の能力向上に努める等,看護教育に多大な功績を残した.

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