日医ニュース
日医ニュース目次 第1256号(平成26年1月5日)

プリズム

 私たちが今使っている暦は,太陽暦(グレゴリウス暦)だ.しかし,明治以前は,旧暦と呼ばれる太陰暦(太陰太陽暦)を用いていた.
 わが国に朝鮮半島から中国の暦が伝来したのは,六世紀,欽明天皇の時代だ.現存する最古の暦は,七世紀の木簡に記されたものである.その後も新しい暦が作られると,最先端の知識として輸入されたが,中国との国交が途絶えた平安時代以降,当時の宣明暦(せんみょうれき)が約八百年にわたって使われ続けた.
 江戸時代に入ると,国内でも暦の研究が進み,渋川春海により,初めて和製の暦が作られた(貞享の改暦).その後改暦の度に正確さを増し,明治五年,明治政府の太陽暦導入まで使用された.
 太陰暦は,月の満ち欠けの周期に合わせて一カ月を決める.その周期は平均二九・五日のため,二〜三年に一度は閏(うるう)月を入れて一年の長さを調節した.この差で農作業などに支障が出ないように二十四節気という基準を設けて季節行事の指標とした.ただ,中国黄河流域の気候に合わせたため,立春といっても,わが国では春の兆しは遠い.
 正月は,立春から啓蟄(けいちつ)の間に設定され,春の始まりの月であるため,年賀状に「新春」の文字が使用されるのはご承知のとおりだ.
 今,旧暦に出番がないかと言えば,そうでもない.特に沖縄県では,多くの行事が旧暦で行われる.カレンダーにも旧暦表示は必須だ.当然,新正月・旧正月と正月も二度祝う.子どもらには好評だが,大人には少し厳しい.
 新年が皆様にとって良い年でありますように.

(和)

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