日医ニュース
日医ニュース目次 第1257号(平成26年1月20日)

私もひとこと

三重県医師会長 青木 重孝

 勤務医の労働環境はなかなか改善されず,特に勤務が過酷になりがちな科においては希望者が減少し,更に勤務条件,環境が低下している.そのような中で,平成二十五年度全国医師会勤務医部会連絡協議会で取りまとめられた「岡山宣言」は時宜を得たものであった.
 来年度から厚生労働省医政局と労働基準局が共同で,医師はじめ医療スタッフ全体の勤務環境改善に向けた取り組みを行うとして,全都道府県に医療勤務環境改善支援センターを設置し,都道府県医師会に委託を求めることが決まったようである.
 具体的には,社会保険労務士等の労務専門家を医療機関に派遣し,実情に応じた労務管理,医療経営,組織マネジメントなど計画的に勤務環境改善に向けた取り組みを行うとしている.
 今回の構想には,委託事業として労務管理支援業務が入っており,これまで労働基準局医療労働専門相談員が行っていた医療機関等に対する相談業務を移管するイメージを持っている.労働基準局は基本的に取り締まり機関であり,医師会が労働基準局の一翼を担って医療機関の労働管理をするというイメージには慎重であらねばならない.
 一方,医師の業務は医師の自律性,独立性が強く求められるものであり,画一的な業務形態や業務命令だけに縛られるものではない.
 この事業について日医は,都道府県医師会が地域医療支援センターの業務委託を受け,医療勤務環境改善支援センターと一体で動かしていこうとする方向性を出している.地域医療支援センターは地元に定着する医師のキャリアアップと医療機関での医師の増員定着を図ることを目的としており,医師会のリーダーシップの下,潤沢に医師が供給される体制が出来,医師の勤務環境の改善が得られるならばこれに越したことはない.そうなれば「岡山宣言」も生きてくることになる.

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