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第1259号(平成26年2月20日) |
日経新聞2月5日付記事に抗議文送付

日医は,二月五日付日経新聞朝刊に掲載された診療報酬改定関連記事「医療機関に手厚く」について,偏った見方の記事として同日付で抗議文を社長宛てに送付した.
抗議文では,今回の記事については,全ての医療機関及び医療関係者を悪者扱いするだけではなく,事実誤認も甚だしく,国民に誤った認識を与えるもので到底容認することは出来ないとするとともに,経営者側に立った形での記事であり,報道の第一義である平等性・公平性の視点が欠落した,一方の意見を鵜(う)呑(の)みにした記事と感じざるを得ず,その報道姿勢は許しがたいものがあるとして,以下の五点を指摘した.
一,診療報酬への「消費税分の適正な上乗せ」は技術的に不可能であり,同時に「非課税」と言いながら患者・国民・保険者の消費税負担が目に見えない形で生じている現行制度は,抜本的見直しが必要であると日医は考えている.
二,また,現行制度では消費税増税分の「適正な上乗せ」は技術的に不可能であるとともに,強行すれば特定の項目に上乗せが偏るという結果にならざるを得ない.従前の個別診療項目へ配分する方法が不公平であったこと,及び消費税率一〇%時までの一年半の対応であることを踏まえ,より公平,かつ出来る限りシンプルな対応案として初・再診料など基本診療料への配分が妥当である.
三,「医師が風邪の患者を問診するだけで,シーツなど消費税のかかるモノを使わなくても消費税分のコストとして報酬を上乗せできる」との記述は,さまざまな間接的経費などの仕入にかかった消費税への対応を無視するもので,全く誤った認識であり,記事の正当性はない.
四,消費税対応分の財源規模が医療費総額の一・三六%とされたことについては,中医協における実態調査の結果に基づく検討を踏まえて政府が適切に決定したものである.
従って,あたかも医療機関側が政治的な働き掛けで過大な上乗せを実現したかのような報道は,意図的に国民の感情を反医療機関に誘導するものである.
五,「その結果,医療費を賄うため企業や個人が払う保険料や患者の窓口負担を含む国民負担は増える」については,現行制度に根本的な矛盾がある.だからこそ,日医は,患者負担を増やすことなく,税制による抜本的解決を要望していることを理解頂きたい.
その上で,今回の誤った記事により,医療機関と国民を分断する意図を感じざるを得ず,新聞としての公的な役割を省みて,誤った記事を再び掲載することがないよう,強い抗議を行った.
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