日医ニュース
日医ニュース目次 第1266号(平成26年6月5日)

日医各種委員会答申・報告書(その5)

(全文は日医ホームページ・メンバーズルーム参照)

公衆衛生委員会答申
医師会個別事業,健診・保健指導事業予防接種事業へ提言

日医各種委員会答申・報告書(その5)(写真) 公衆衛生委員会(委員長:吉田勝美日本総合健診医学会副理事長)は,横倉義武会長からの諮問「医師会活動を通した国民のための地域保健のあり方」に対する答申を取りまとめた.
 答申の内容は,(一)序,(二)総論,(三)委員会審議経過,(四)実態調査の概要,(五)調査結果の概説,(六)調査結果を踏まえた委員会としての見解,(七)まとめ,(八)提言─で構成されている.
 また,本委員会では,答申を取りまとめるに当たり,保健事業と医師会活動の関わりを中心に実態を把握するため,都道府県医師会,郡市区医師会を対象に「地域保健事業全国実態調査」を実施していたが,その結果についても,巻末資料として掲載されている.
 本答申では,(一)医師会個別事業の認識度のばらつき,(二)健診・保健指導事業に関する現場医療機関からみた問題,(三)予防接種事業に対する広域的な問題─の三つが課題として示されている.
 (一)については,(1)日医(都道府県医師会)で,地域保健事業の好事例の情報を収集し,情報提供等,その啓発に努める(2)郡市区医師会に,地域の保健事業に詳しい学識経験者等による検討体制を構築する(3)精神保健に関しては都道府県医師会に委員会を設置して,診療を含め精神保健事業の連携を図る─ことが提言されている.
 また,(二)に関しては,地域保健事業として必要とされる健診・保健指導事業の対案を構築する,(三)については,予防接種の複雑化,接種環境の確保などの予防接種行政の問題点を検討し,情報提供出来るシステムを確立するためにも,日医において協議する常設組織を設置する─ことが,それぞれ提言されている.

日本医師会医療秘書認定試験委員会報告書
第三十四回日医医療秘書認定試験結果を分析・評価

日医各種委員会答申・報告書(その5)(写真) 日本医師会医療秘書認定試験委員会(委員長:笠島眞医療法人社団紫蘭会光ヶ丘病院副院長)は,「第三十四回日本医師会医療秘書認定試験結果分析評価報告書」を取りまとめた.
 第三十四回日本医師会医療秘書認定試験は二月九日(宮城県のみ雪害のため,十一日)に九県医師会(十一校)で,四百十一名の受験者の参加の下に実施されたもので,合格者は三百八十八名,平均点は七〇・〇点,合格率は九四・四%であった.
 本報告書は,その認定試験の結果を分析・評価したもので,内容は,「I緒論」「II科目別正解率」「III各回の比較」「IV総括」からなっている.
 報告書では,出題問題について,受験者及び各県医師会からの疑義はなく,適切であったとした上で,「発育と老化」「心身医学」「医療用語」の正解率が低いことに懸念を示し,その対応を要請.また,チーム医療の一員として医療秘書の業務を行うに当たっては,コミュニケーション能力を高めることが重要だとして,平成二十六年度より新設される「コミュニケーション論」の活用に期待感を示している.
 更に,医療秘書の必要性は一層増すとして,次回の診療報酬の改定においては,医師事務作業補助体制加算の対象施設の拡大及び施設基準の見直し等,要件の緩和が強く望まれるとしている.

精神保健委員会(プロジェクト)答申
子どもと働き盛り世代へのメンタルヘルス対策のあり方を提言

日医各種委員会答申・報告書(その5)(写真) 精神保健委員会(プロジェクト)(委員長:高橋祥友筑波大学教授)は,会長諮問「子どもと働き盛り世代へのメンタルヘルス対策のあり方─災害被災者へのアプローチも含めて─」に対する答申書を取りまとめた.
 第一章「子どものメンタルヘルス対策のあり方」では,子どもの生活に大きな比重を占める学校を軸に検討した.学校医が要となり,メンタルヘルスに関する養護教諭などの実務のバックアップや地域の精神科医との連携を図ることが出来るように,また,学校の産業医が,教師の状況に配慮してメンタルヘルスを改善させることで子どもにも良い影響を及ぼすことが出来るように,研修を進めることが望まれるとしている.
 第二章「働き盛り世代へのメンタルヘルス対策のあり方」では,一般職場の労働者で長期休業者の中にはメンタルヘルス不調者が圧倒的に多いという調査結果を示し,職場のメンタルヘルス充実のポイントとして,産業医の役割が極めて重要として,産業医の役割を整理し,産業医として必要とされる精神医学の知識についてまとめた.
 第三章「大規模災害時のメンタルヘルス対策のあり方」は,東日本大震災を機に,大規模災害時のメンタルヘルスへの関心が高まっているが,大規模災害に特化したメンタルヘルス対策が存在し得ないことから,日頃から地域におけるメンタルヘルス保持のシステムを整備しておくことが,緊急事態に臨機応変に対応するのに役立つとして,日頃から地域で活動しているかかりつけ医に対して,適切な精神医学の知識について今後とも生涯教育を進めていく必要があると提言している.

産業保健委員会答申
認定産業医の更なる活用に向けた方策を提言

日医各種委員会答申・報告書(その5)(写真) 産業保健委員会(委員長:相澤好治北里大学名誉教授)は,横倉義武会長からの諮問「地域産業保健センター事業,産業保健推進センター事業並びにメンタルヘルス対策支援センター事業の一括運営」に対する答申を取りまとめた.
 答申は二部構成となっており,第I部では都道府県医師会を対象に行った「産業保健三事業の一括運営に関するアンケート調査」の結果を紹介.新たな産業保健支援事業のあり方については,都道府県・郡市区医師会が主体的に関与して事業を推進出来るよう体制を整備することを求めている他,産業保健支援事業全国協議会(仮称)の設置等を提案.日医には,作業環境管理及び作業管理を含めた総合的な産業保健活動の支援を推進すること等を国に要望すべきとしている.
 第II部では,日医に対して,「小規模事業場やいわゆる非正規労働者の健康管理に係る体制の構築,常時使用する労働者が三十人以上の事業場の全てにおいて産業医の選任を義務付けること」「慢性疾患や精神疾患等を有する労働者の療養指導に関する主治医から産業医への情報提供に対する診療報酬上の評価の導入」等を国に求めることを要望している.
 その他,認定産業医データベースの構築と活用,認定産業医の資質向上のために,生涯研修の専門研修に関する制度の改訂や産業医として最低限必要な知識や実施事項に関してのガイドラインの作成等の提案がなされている.

勤務医の健康支援に関する検討委員会答申
勤務医の労務管理に関する分析・改善ツールの改定等を報告

日医各種委員会答申・報告書(その5)(写真) 勤務医の健康支援に関する検討委員会(委員長:保坂隆聖路加国際病院精神腫瘍科部長)は,横倉義武会長からの諮問「勤務医の労務管理に関する分析・改善ツールの普及のための具体的方策」に対する答申を取りまとめた.
 答申では,二〇一三年三月に作成した「勤務医の労務管理に関する分析・改善ツール」に関して,小幅な改定を行ったことを報告.
 また,改定に当たって行った,これまでの医師の職場環境改善ワークショップ研修会の参加者を対象としたアンケート調査や,同ツールを活用している二病院(岡山旭東病院,富山市民病院)への実地ヒアリング等の結果についても紹介し,今後は出来る限り多くの病院で活用してもらえるよう,啓発を行っていく意向を示している.
 その他,日本看護協会並びに日本医業経営コンサルタント協会から,それぞれの団体の勤務環境改善に関する取り組みについてヒアリングを行った結果や,二〇一三年度に開催した医師の職場環境改善ワークショップ研修会(千葉・埼玉・鹿児島各県医師会)の模様等についても,その概要が説明されている.

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