日医ニュース
日医ニュース目次 第1277号(平成26年11月20日)

第67回日本医師会設立記念医学大会 受賞者の功績紹介

 日本医師会最高優功賞のうち,都道府県医師会長推薦による「医学,医術の研究又は地域における医療活動により,医学,医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し,特に功績顕著なる功労者」と,その受賞理由を紹介する.

学校保健及び救急・予防医療の推進に貢献した功労者
移川 二郎 先生(96歳 宮城県)

 宮城県医師会理事就任時,学校医部門を担当し,児童の健康保持増進と保健衛生の確立に取り組んだ他,休日当番医制事業導入に当たっては,直ちに事業協力を表明し,制度の確立に努めた.各種健診・予防接種等にも尽力し,救急・予防医療の推進に貢献.また,高齢化が顕著な宮城県において,認知症病棟,デイケア棟を設置するなど,常に住民のニーズに即した医療提供を心掛けるとともに,東日本大震災後は,被災者の心のケアに積極的に取り組んでいる.

学校保健の推進及び救急医療体制の構築に貢献した功労者
門屋 桂太郎 先生(87歳 福島県)

 PTA代表の関係者を交えた地域学校保健委員会の開催を推奨するとともに,養護教諭,父母に対して生活習慣病予備軍に対する適切な指導助言を行うなど,地域ぐるみの組織的な活動を展開.また,昭和56年からは,いわき市休日夜間急病診療所運営委員会委員として,いわき市民の休日夜間における健康管理と急病時の不安解消に多大な貢献をするなど,保健衛生思想の普及発展と医療行政の発展に貢献した.

医師会活動を通じて地域医療の復興に貢献した功労者
齋藤 浩 先生(73歳 茨城県)

 茨城県医師会長として行政機関や県内基幹病院,医療関係団体等との連携を密にしながら,救急医療体制の構築や東日本大震災による被災からの,地域医療体制の復旧・復興に努めた.また,死体検案業務の重要性と質の確保の必要性を強く認識し,全国に先駆けて,茨城県医師会独自の検案医の認定制度を創設した.更に,全国初となる複数の基地病院を持つ茨城県ドクターヘリの導入に当たり,大いに尽力し,広域的な救急医療体制の構築に努めた.

学校保健及び母子保健の向上に貢献した功労者
長嶋 正實 先生(72歳 愛知県)

 平成元年から日本小児循環器学会心臓検診委員会委員や日本学校保健会の委員・委員長として,学校心臓検診に関わる診断基準,ガイドライン,管理基準,学校生活管理指導表などの作成に関わり,全国一律の心臓検診の実施,診断,管理法を確立.全国で行われている学校心臓検診はほとんどこの基準やガイドラインに準拠するようになった.また,国際協力にも貢献し,JICAと協働して,発展途上国(アフリカなど)の母子保健の向上に努めた.

医療の質の向上及び医療安全の推進に貢献した功労者
莊司 邦夫 先生(72歳 三重県)

 開業医として昼夜を問わず診療に専念し,近隣はもとより,広範囲にわたり地域医療及び健康管理・指導に貢献.また,津地区医師会長に就任後,津地域全体の医療の質や安全向上のため,地区2医師会,歯科医師会,薬剤師会,看護協会と合同で医療安全委員会を立ち上げ,その委員長として,住民が地域でどの医療機関にかかっても,安心して質の高い安全な医療を受けられるよう努めている.

医業経営の安定化及び医事紛争防止に貢献した功労者
余 昌英 先生(75歳 京都府)

 行政との緊密な連携の下,各種検診事業にも積極的に協力し,地域医療の担い手として,住民の健康的な生活を支えるために尽力.また,年々増加傾向をたどる医事紛争に対し,患者の医療への信頼確保に向けて,紛争予防のための講演会を積極的に実施.医事紛争の適切な処理及び発生防止策の確立に寄与するとともに,高齢化社会にふさわしい有意義な地域医療情報システムの構築に向けて奔走し,理論構築を図った.

がん検診の普及・受診体制整備に貢献した功労者
大道 準一 先生(87歳 兵庫県)

 兵庫県子宮がん対策が開始される以前から,川西市医師会産婦人科医会として,スメアテスト方式による子宮がん検診を提唱し,積極的に取り組んだ他,地域医療の中心的拠点となっていた「医師会メディカルセンター」の移転にともない,検査機器の充実等を進め,センターの検診能力の向上に努めた.また,市民に対する健康教育にも意を注ぎ,健康大学の開催・市広報紙への啓発記事掲載,市民向け講演会の開催等にも尽力した.

学校保健活動に著しく貢献した功労者
門野 文彦 先生(75歳 奈良県)

 36年の永きにわたり,地域住民の健康保持増進に貢献.学校保健分野では,学校検診における脊柱側わん症対策に尽力し,児童・生徒の脊柱側わん症の早期発見を目的として,モアレ検査を一次検診のスクリーニングに導入.奈良市内の小・中学校の児童,生徒約185,000人に対して検診を行い,そのうち要精検と判定した1,064名中84名をCobb角20度以上と診断し,三次検査や整形外科専門医の受診指導を行うなど,脊柱側わん症の検出向上に大いに貢献した.

ITを活用した地域医療体制の確立に貢献した功労者
小西 紀彦 先生(76歳 和歌山県)

 全国に先駆けて,各医療機関をインターネットで結び,登録を希望された患者の医療情報を,地域の中核病院を含めた各診療所間で共有するとともに,重複検査,重複投薬を防ぐことができるシステムを発案.平成14年には「ゆめ病院」と名付けられた医療情報ネットワークシステムを完成させた.現在の登録患者数は78,800人に上り,若い会員達の間でiPadを使用した在宅医療にも利用されている他,県内の交通の不便な山間へき地でのユビキタス医療を可能にしている.

地域医療の推進及び救急医療活動に貢献した功労者
田 修 先生(93歳 広島県)

 現役の内科専門医として64年間の永きにわたり地域医療に貢献している他,休日当番医,盆前後・年末年始の救急医療業務にも従事し,広島市の休日等の救急医療を支えてきた.また,広島市内の小・中学校の学校医として地域の小・中学生の健康管理に尽力.更に,広島市医師会の調査研究委員会委員や同医師会の准看護学院(当時)の解剖生理学講師を務め,広島市の保健医療,准看護師養成に大きく寄与した.

かかりつけ医推進事業及び糖尿病対策に貢献した功労者
伊藤 肇 先生(78歳 山口県)

 37年余りにわたり一貫して地域に密着した診療活動を行い,地域住民の疾病予防,健康増進及び公衆衛生の向上に尽力.下関市医師会長時代には,保健・医療・福祉の連携に努め,地域住民の生涯にわたる健康確保を目的に「下関医療圏医療マップ」を作成.全世帯に配布するなど,かかりつけ医の推進事業に貢献した.また,市民糖尿病教室が50回を迎えるに当たっては,『糖尿病教室25周年記念誌』を発行するなど,糖尿病対策事業の基盤を確立した.

地域医療の充実・発展及び結核予防に貢献した功労者
太原 春雄 先生(91歳 鹿児島県)

 鹿児島市医師会理事として,全国に先駆け,全自動臨床検査システムを構築し,会員への診療支援を目的とした年中無休の検査体制,精度管理の充実に尽力した.また,結核診療の第一線にも携わり,結核病患者の診療水準の向上に努めるとともに,永きにわたって鹿児島市結核診査協議会委員として,結核予防に尽力.現在も鹿児島市立小中学校結核対策検討委員会委員として,鹿児島県の医療・保健・福祉の発展向上に向けて活躍している.

医師会活動を通じて地域医療体制の構築に貢献した功労者
新垣 善一 先生(76歳 沖縄県)

 中部地区医師会副会長として,中部地区医師会館の建設並びに同医師会立成人病検診センターの開設等に尽力.また,平成6年10月の予防接種法の改正の際には,いち早く個別予防接種への移行を実施し,接種対象者が安心してかかりつけ医の下で予防接種をすることができるようにした他,在宅で寝たきりのお年寄り等の看護,介護サービスの向上を図るため,中部地区医師会立訪問看護ステーションを開設するなど,同地区の在宅看護,医療の発展に寄与した.

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