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第1281号(平成27年1月20日) |
横倉会長
持続可能な社会保障に向けて安倍総理,麻生副総理兼財務大臣と相次いで会談

横倉義武会長は第三次安倍内閣発足直後の昨年十二月二十五日,今村聡副会長と共に総理官邸を訪問し,安倍晋三内閣総理大臣と会談.持続可能な社会保障に向けて,主に(一)国民医療推進のための財源の確保,(二)国家戦略特区における医学部新設,(三)平成二十七年度税制改正大綱─の三点に関する要望を行った.
同会長は,まず,第三次安倍内閣発足に対するお祝いを述べた上で,(一)に関しては,平均寿命と健康寿命の差を縮めていくことが重要であり,健康寿命の延伸には「高齢者にいつまでも元気で生活してもらうことが必要であり,そのためには地域のコミュニティを復活させ,そこに医師が関与していくことが重要になる」との考えを説明.そのためには,適切な財源の確保が必要だとして,平成二十七年度予算における地域医療介護総合確保基金の更なる上乗せ等の実現を強く求めた.
(二)については,(1)既に養成数は二〇〇八年度から千五百九人増えており,平成二十六年三月以降,地域枠卒業者が大幅に増えていく見込みであること(2)分子を医師国家試験合格者数,分母を二十五歳人口として,同年齢のうち医師になる割合を算出すると,一九七六年に四百三十七人に一人であったものが,現在の定員が継続したとすると,二〇三〇年には百三十二人に一人となること(3)日本私立医科大学協会の調査によると,医師一人当たりの養成費用は医学部六年間で約一億円に達すること─等を説明.
医師の養成については,これらのことを踏まえて人口が減少する中で,今後の医師養成数を検討する必要があるとするとともに,国家戦略特区における医学部新設については,慎重な対応を要請した.
また,(三)については,特に大きな病院では医療の消費税負担が深刻な問題になっていることを改めて説明し,その解決に向けた協力を求めた.
これらの要望に対して,安倍総理は「しっかり頑張っていく」と応じるなど,一定の理解を示した.
横倉会長はまた,年明けの一月五日には今村副会長と共に財務省を訪問し,麻生太郎副総理兼財務大臣と会談を行った.
会談で同会長は,平均寿命と健康寿命の差を短縮し,元気な高齢者になってもらうことが今後は重要になるとした上で,その推進のためには,財源の確保が必要だとして,平成二十七年度予算における地域医療介護総合確保基金の増額等の対応を求めた.
また,国家戦略特区における医学部新設の問題については,前述の安倍総理との会談と同様の内容を説明.「医学部新設については,これらのことを踏まえて議論すべきである」と主張するとともに,改めて国家戦略特区における医学部新設に反対する意向を伝えた.
更に,横倉会長は,昨年末に取りまとめられた「平成二十七年度税制改正大綱」についても言及.「医療に係る消費税等の税制のあり方に,一つの方向性を示して頂きありがたい」と感謝の意を示し,消費税率一〇%引き上げ時における抜本的な問題解決を求めた.
これらの要望に対して,麻生副総理兼財務大臣は「百三十二人に一人が医師になる」との試算に驚くなど,一定の理解を示すとともに,控除対象外消費税の問題については,「何とか解決しなければならない問題だと考えている」と応じた.
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