日医ニュース
日医ニュース目次 第1283号(平成27年2月20日)

勤務医のひろば

総合診療医の育成に向けて
独立行政法人地域医療機能推進機構埼玉メディカルセンター院長 細田洋一郎

 私ども旧社会保険病院は,平成二十六年四月より厚生年金病院,船員保険病院と共に全国五十七の病院からなる独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)の病院となった.その名のとおりJCHOのミッションは地域医療機能推進だが,その一つに地域医療に求められる人材育成,すなわち幅広い診断能力を持つ「総合診療医」の養成に積極的に取り組むということがある.
 時期を同じくして,一般社団法人日本専門医機構が発足した.中立的第三者機関で認定過程の標準化,透明化を図り,専門医制度の枠組みとしては十九の基本領域とサブスペシャリティー領域専門医の二段階制を基本とする.そして,二〇一七年からは機構で認定された研修プログラムでの研修が始まる.この基本領域に新たに加わった十九番目が「総合診療専門医」である.総合診療医の定義,その目指す方向性等,いまだ議論の多いところではあるが,過日,横浜市内で開催された平成二十六年度全国医師会勤務医部会連絡協議会でも「地域医療再生としての勤務医〜地域医療における総合診療医の役割〜」がメインテーマとなった.
 いまだ多くの議論はあるが,基本的臨床能力を備えた上での専門性,超高齢化社会に突入しつつあるわが国で,今後,複数の疾患を併せ持つ高齢者に対処できる医師の必要性には異論はないと思われる.日本の医療の多くの部分は,総合診療中心の地域の開業医が支えてきた.そして,その開業医は専門医の育成に特化された大学で教育を受け,開業と同時に総合診療医として多くの患者の診療に当たるという矛盾があった.
 我々JCHO病院グループは,地域包括ケアも見据えた上で,総合診療医,専門医の育成をその使命としていく所存である.

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