日医ニュース
日医ニュース目次 第1294号(平成27年8月5日)

平成27年度春の外国人叙勲「旭日中綬章」受章記念祝賀会
マイケル・ライシュ教授「日本の医療,公衆衛生,そして国際保健の変遷〜私と日本との44年間の振り返り〜」をテーマに記念講演

平成27年度春の外国人叙勲「旭日中綬章」受章記念祝賀会/マイケル・ライシュ教授「日本の医療,公衆衛生,そして国際保健の変遷〜私と日本との44年間の振り返り〜」をテーマに記念講演(写真) ハーバード大学公衆衛生大学院武見国際保健プログラムにおいて長年主任教授を務められたマイケル・ロビン・ライシュ教授が平成27年度春の外国人叙勲「旭日中綬章」を受章されたこと別記事参照を受け,記念祝賀会(記念講演並びに懇親会)が7月9日,日医会館大講堂及び小講堂・ホールで開催された.
 記念祝賀会は,石井正三常任理事の司会で開会.冒頭あいさつした横倉義武会長は,ライシュ教授が1971年,エール大学の学生として初来日し,当時の武見太郎日医会長の推薦で慶應義塾大学医学部の国際医学情報センター客員研究員を2年間務めて以来44年間にわたり,日米の両面から医療,保健,公衆衛生の実践と,政策の側面,課題,在り方に取り組み,その発展に大きく寄与してきたことに感謝の意を表明した.
 更に,日本の公害被害者へのインタビューを通じて包括的な分析を行った『夢の島─公害からみた日本研究』は,日本の環境汚染問題の包括的な分析に関して英語で出版した最初の本となったこと,1983年にハーバード大学公衆衛生大学院に設置した武見国際保健プログラムの主任教授として,今日までに53カ国251人のフェロー(うち日本人フェロー54人)を輩出してきたこと,2011年3月の東日本大震災後間もなく来日し,日医と共に,原発事故のあった福島県において,公衆衛生の観点からその復興に向けてのメッセージを発したこと等を紹介し,「ライシュ教授の日本に対する長年にわたる公衆衛生と国際保健における多大な功績が今回評価され,『旭日中綬章』が授与されたものと思われる」と述べ,改めてその栄誉を称えた.
 続いて,ライシュ教授が,「日本の医療,公衆衛生,そして国際保健の変遷〜私と日本との44年間の振り返り〜」と題する記念講演を流暢(りゅうちょう)な日本語で行った.
 同教授は,「大きな名誉を頂いたことへの深い感謝の念を,私の第二の祖国となった日本に対して捧げたい」と述べた上で,写真を用いながら,21歳の時の武見元会長との出会いから,武見国際保健プログラムの設立,1980年代の武見シンポジウム,武見プログラム30周年記念シンポジウムなどを経時的に説明.
 更に,『夢の島─公害からみた日本研究』(1975年),『日本人の死生観』(1977年),『実践ガイド─医療改革をどう実現すべきか』(2010年),『医薬品アクセス─グローバルヘルスのための組織設計』(2015年7〜8月出版予定,インターネットで無料ダウンロード可),『ランセット 日本特集号「国民皆保険達成から50年」』(2011年9月),『包括的で持続的な発展のためのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:11カ国研究の総括』(「UHCに関する日本・世界銀行共同研究プログラム」,2014年)などの日本に関する著作等を示しつつ,歩んできた経験と出会った人々について語った.
 最後に,ライシュ教授は,「Path dependency:道を選択すると,positive feedbackが起こって,よい循環が生まれ発展していく.個人的な経験から,一つのことを深く,長くやれば,世の中に貢献することは可能である.ただし,勲章をもらうとは,夢にも思わなかった」と結んだ.
 出席者は,教授にゆかりのある関係者や武見フェローなど約170名であった.
 また,講演終了後には,小講堂・ホールで懇親会が催された.

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