日医ニュース
日医ニュース目次 第1298号(平成27年10月5日)

解説
マイナンバーに対する日医の見解
常任理事 石川 広己

解説/マイナンバーに対する日医の見解/常任理事 石川 広己(写真) これからの超高齢社会において、社会保障の財源を確保するためにも所得の正確な捕捉を行うことは必要なことであり、そういった意味においては、日医として、マイナンバー制度の導入に反対はしておりません。
 日医が問題としているのは、その利用範囲に関してです。医療情報は極めて機微性が高く、万が一その情報が漏れてしまった場合には取り返しのつかないことになりかねません。そのため、診療や検査、投薬、入院などの医療行為で支給されるもの、すなわち現物給付の部分に関しては、マイナンバーそのものを用いられることに強く反対するとともに、医療等IDを用いることを主張し続けた結果、本年6月30日に閣議決定された「日本再興戦略改訂2015」の中に、その趣旨を盛り込むことができました。
 日医では、現在、本年3月に設置した「医療分野等ID導入に関する検討委員会」において、厚生労働省、内閣官房、経済産業省、総務省の実務責任者にもオブザーバーとして参加頂き、医療等IDをどのように発生させるか、また運用していくための課題等について議論を行っているところです。
 医療等IDは、医療・介護連携の時代、そして医療ビッグデータの利活用の時代において、国民が医療・介護を安心して受けることのできる社会を実現するためにも必要な手段であり、何とかこのシステムを完成させていきたいと考えています。
 このように、医療分野においてはマイナンバーを用いないとしても、会員の先生方の中には、講演料を受け取る際にマイナンバーを提示することや、雇用者として従業員のマイナンバーを管理することが求められますので、全く関係がないということはありません。
 日医といたしましても、マイナンバー導入に伴う行政等への提出書類などの書式改訂の際に、必要もなくマイナンバーを転記させる書式にすることのないよう、省令や通知などで徹底することを厚労省に要望しておりますが、その取り扱いには十分注意して頂きますよう改めてお願い申し上げます。

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