指導:東京慈恵会医科大学外科教授
   青木 照明

より確かな乳がん検診のために
 最近、集団乳がん検診は、乳がんの早期発見にあまり寄与していないので受ける価値がないのでは、との報道がありました。実際のところ集団検診は、乳房の視診・触診のみで行われることが多いので、触知できないような微細な病変を発見しにくいことがその大きな理由として考えられます。
 したがって、その点を補うマンモグラフィーなどの検査方法を追加することで、乳がんの早期発見に役立てることができるわけです。

マンモグラフィーとは?
 単純乳房撮影法といわれるレントゲン検査で、胸部や腹部のレントゲン検査よりも弱いエックス線で乳房の幅を撮影するものがマンモグラフィーです。乳房を上下と左右から板ではさみ、乳房用エックス線装置で撮影します。
 乳がんの場合、砂をまいたような非常に小さな石灰化像(右写真参照)や、不整形な腫瘤影が見られます。古い乳腺炎や乳腺症の場合には、比較的大きな石灰化像が見られ、乳がんと区別するのに役立ちます。

しこりを触れなくても、年に1度の検診を
 乳がんは年々増加の傾向を示しています。かつては乳房をすべて切り取る手術が多く行われていましたが、現在では早期に発見すれば、乳房の一部を切り取るだけですむような乳房温存手術が積極的に行われています。
 一般的に、乳がんがはっきりとしたしこりとして触れるようになるまでには7〜10年くらいかかるといわれています。早期発見のために、35歳を過ぎたら、たとえ乳房にしこりを触れなくても、最低1年に1回はマンモグラフィーを含む乳がん検診を受けられることをおすすめします。


 

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