指導:日本医師会常任理事
   山田 統正

●お年寄りの皮膚の特徴
 60歳以上の方々の95%は皮膚が多かれ少なかれ乾燥しており、その半数が「かゆみ」を訴えています。
 お年寄りの皮膚をくわしく観察してみましょう。皮膚の表面は明らかにひからびて見え、一部は波状の亀裂が入り、さらに網目状になることもあります。年齢とともに皮脂(皮膚のあぶら)も減り続けます。

●冬は大敵です
 冬に皮膚科を受診するお年寄りの多くは「かゆみ」が主な原因です。日本の冬は、湿度が低下し、毛布やウールの下着が肌に触れて刺激が加わると「かゆみ」はさらに増します。そのため、皮膚をかきこわして、湿疹あるいは皮膚炎を起こした状態で受診することがあります。こういう症状を「乾燥性皮膚炎」と呼びます。
 乾燥性皮膚炎は女性よりも男性のお年寄りに多く、すね(下腿伸側)から始まり、もも(大腿)、腕および背中へと拡大していきます。

●予防が大切
 お年寄りのかゆみは、日常生活に注意することである程度予防できます。それには、

    (1)衣類からの刺激を避けるために、肌着はなるべく滑らかな綿繊維製品を着用する。

    (2)長時間の入浴はやめる。石鹸、シャンプーを使いすぎると皮脂を落としてしまうので注意する。そして入浴直後に保湿剤を皮膚に塗る。

    (3)暖房による湿度の低下に注意し、加湿する。などの注意が必要です。ただし、お年寄りの「かゆみ」は、皮膚の異常乾燥のせいだけとはかぎりません。往々にして糖尿病、痛風、慢性腎不全、慢性の肝障害などをともなうこともありますので、「かゆみ」が続くような場合は、ぜひかかりつけの皮膚科医を受診してください。

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