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Vol.11公開:令和8年1月

低血圧-病気が隠れていることも…

国際医療福祉大学塩谷病院 病院長
佐藤 敦久

低血圧とは

めまいや動悸で苦しんでいる男性・女性のイラスト

日本は超高齢社会を反映して高血圧患者が多く、その診断や治療についてはガイドラインが発表され、注目されています。
それに比べると、低血圧はあまり問題視されないことが多いようです。しかし、無症状の高血圧に比べ、低血圧では症状があることも多く、またその原因として見逃してはいけない病気が隠れている場合もあります。

低血圧とは、めまいや失神などの症状が現れるほど血圧が低い状態をいい、一般には上の血圧(収縮期血圧)が100mmHgミリメートルエイチジー以下の場合を指します。30歳以上の男性で0.7%、女性で3.2%が低血圧であるとされていますが、若い女性に比較的多く見られます。

低血圧の分類

低血圧は、原因、発症の経過、症状の有無などでさまざまに分類されています。ここでは、診断・治療をする上で大切な3つのタイプを解説します。

1本態性ほんたいせい低血圧

明らかな原因がなく、慢性的に血圧が低い状態を本態性低血圧といいます。疲労感や動悸、立ちくらみ、めまいなどの症状が見られることがありますが、ほかに病気がなく、症状がない場合には、治療の必要はありません。女性に多く、遺伝的な要因や、食事・運動といった生活習慣などが影響します。慢性的な低血圧は、家庭血圧や24時間自由行動下血圧測定などから確認します。

2症候性低血圧(二次性低血圧)

症候性低血圧は、原因となる病気があって低血圧になる病状で、二次性低血圧ともいいます。原因として、内分泌性疾患、心血管性疾患、神経原性疾患、薬物などがあげられます。原因となる病気の治療を優先して行いますが、この中には急性の経過を取る場合があります。急性低血圧はショック症候群とも呼ばれ、急激に血圧が下がるため、直ちに治療が必要で、対応が遅れると命にかかわる場合もあります。高血圧の治療を受けている方が、急速な減塩や減量により、降圧薬が効きすぎて低血圧を引き起こすこともあります。

3起立性低血圧(一過性低血圧)

起立性低血圧(一過性低血圧)とは、横になっている姿勢または座っている姿勢から立ち上がる際に、3分以内に上の血圧(収縮期血圧)が20mmHg以上、下の血圧(拡張期血圧)が10mmHg以上低下する場合をいいます。起立性低血圧には、原因がある場合と、原因不明で起きる場合があります。年齢とともに頻度が高くなり、65歳以上では約20%という報告もあります。

立っている姿勢の時、血液は重力の影響で上半身から下半身に移行する傾向がありますが、自律神経の作用により、下半身の血管を収縮させて血液量の配分を調節しています。しかしこの調節に障害が生じると、起立した際の瞬時の血圧調整ができなくなり、一時的に血圧が低くなります。起立性低血圧の症状は、この調節障害によって脳や各臓器、筋肉などの血流が低下することにより引き起こされます。

低血圧の治療

1)本態性低血圧の場合は、自覚症状がなければ治療の必要はなく、むしろ動脈硬化の進行が抑制されるので好ましいと考えられています。生活習慣がかかわっている場合があるので、睡眠不足や過労にならないよう留意します。水分を多めにとって、特に病気がなくて許されるのであれば、適量の食塩やカフェイン(コーヒーなど)の摂取も効果が期待できます。やせすぎている場合には、なるべく標準体重に近づけることも大切です。

2)症候性低血圧の場合は、正確に診断をして、原因となる疾患を治療することが大切です。

3)起立性低血圧の治療をに示します。起立性低血圧では、あわてずゆっくりと動作に移るようにします。運動で筋肉を鍛えることや、弾性ストッキング、弾性腹帯などの弾性着衣を着用することも、症状の改善に役立ちます。

起立性低血圧の治療表
低血圧対策に、弾性ストッキングち弾性腹帯を着用している女性のイラスト
低血圧対策に、弾性ストッキングち弾性腹帯を着用している女性のイラスト

急性の低血圧は速やかに適切な治療をすることが求められますが、急性でなければ直ちに対応する必要はありません。原因となる病気の治療は必要ですが、低血圧そのものへの薬物療法は通常は行いません。ただし、さまざまな非薬物療法で対策を行ってもなお症状が改善しなければ、薬物療法を行う場合もあります。薬物療法には、α刺激薬やαβ刺激薬、コリンエステラーゼ阻害薬、ミネラルコルチコイドなどを使用します。

受診が必要な場合

立ちくらみやめまいが頻繁に起こるなど心配な症状があったり、上の血圧(収縮期血圧)が100mmHg未満の状態が続く場合には、かかりつけ医や内科を受診して、一度相談してみてください。

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