
Vol.13公開:令和8年5月
伝染性紅斑(リンゴ病)
札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル 小児科
要藤 裕孝

伝染性紅斑とは
伝染性紅斑は、小児のウイルス性発疹症の一つです。集団生活を送る園児から小学生を中心に流行します。伝染性紅斑は一度かかると終生の免疫が得られるので、一生に一度しかかかりません。
1症状
伝染性紅斑に特徴的な症状は、一般に「リンゴ病」と呼ばれるように、ほっぺたの赤い発疹(紅斑)です(図)。顔以外にも、腕や太ももや胸などにも、網状あるいはレース状の発疹が見られます。一週間ほどで発疹は消えますが、日光に当たったり、服などで擦れることにより、消えた発疹が再び現れることがあります。

中学・高校生や成人では、伝染性紅斑にかかった時に手足(特に指の関節)に強い痛みを感じることがあります。

2感染経路と潜伏期間
伝染性紅斑は、皮膚からはうつりません。他人へは、のどからの飛沫感染や接触感染により伝染します。
ウイルスに感染してから紅斑が出現するまでの潜伏期間は、14日から18日です。

3流行の状況
流行の周期は全国で見ると4~5年おきで、2年間の流行期と2~3年の非流行期を繰り返しています。流行期の間に、個々の地域においてはそれぞれ数か月間の流行が見られます。他のウイルス感染症と比較すると、感染力は強くないほうと考えられます。
4原因
伝染性紅斑になる原因は、ヒトパルボウイルスB19というウイルスの感染です。

ヒトパルボウイルスB19について
1特徴
B19という番号は、偶然発見された時の血液検体の番号で、ヒトパルボウイルスにA19やB20があるわけではありません。小型のウイルスで熱に強いのが特徴です。
ヒトパルボウイルスB19が感染するのは、骨髄の中にある赤血球前駆細胞という赤血球のもとになる細胞です。赤血球は酸素を運搬する役目があるため、ヒトパルボウイルスB19感染症は貧血に関係する病気を引き起こすことがあります。ただし、伝染性紅斑にかかった時は、赤血球への影響は短期間なので、貧血の症状が出ることはありません。
2伝染性紅斑以外の病気
伝染性紅斑の流行期に、妊娠中の女性がヒトパルボウイルスB19に感染した場合、まれにおなかの赤ちゃんまでウイルスに感染することがあります。おなかの赤ちゃんが感染すると、赤ちゃんの貧血が進み、ひどい時は胎児水腫*1という状態に至ることがあります。最悪の場合はおなかの赤ちゃんが死亡することもあります。風しんなどとは異なり、赤ちゃんが生まれた時に貧血以外の先天性の病気にかかっていることはありません*2。
*1:おなかの中の赤ちゃんの皮膚や胸、おなかに水が溜まって、全身がむくむ重い病気。
*2:風しんの場合には、お母さんが妊娠20週頃までに風しんウイルスに感染すると、生まれてくる赤ちゃんが先天性心疾患や難聴、白内障などの症状を起こす先天性風しん症候群(CRS:congenital rubella syndrome)を発症することがある。
伝染性紅斑の治療と予防

皮膚にかゆみを感じることがありますが、症状は軽いため、通常は自然経過を観察するだけで大丈夫です。かゆみが強い時には、かゆみ止めの飲み薬を服用します。
予防のためのワクチンはまだ実用化されていません。
ウイルスが他人に感染する時期は、紅斑が出る1週間以上も前です。伝染性紅斑と分かった時には感染力がかなり低くなっています。そのため、伝染性紅斑にかかっても他人にうつさないため、学校や幼稚園、保育園を休む必要はありません。
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