白クマ
日医白クマ通信 No.1037
2008年11月6日(木)


定例記者会見
「次期介護報酬改定率に関する意見」
―三上裕司常任理事

三上裕司常任理事


 三上裕司常任理事は、11月5日の定例記者会見で、10月30日に公表された政府の追加経済対策で、来年度の介護報酬改定について3%の引き上げが明記されたことに対する日医の意見を公表した。

 同常任理事はまず、過去2回続けてマイナス改定であった介護報酬の次期改定率が、プラスであると示されたことについては一定の評価をするとした上で、平成15年が▲2.3%(在宅分平均+0.1%、施設分平均▲4.0%)、平成18年が▲2.4%(在宅分平均▲1%、施設分平均▲4.0%)であったことを考えると、3%という数字では、過去のマイナス分も取り戻せない不十分な改定率であるとの見解を示した。

 厚生労働省は、今回示された改定率の根拠を、「前回改定以降の賃上げ率や物件費を加味した上昇分が1%弱であり、それを上回る率」と説明している。今回の改定で一番重要視されたのは、80万人以上いると言われている介護従事者対策であり、月額給与2万円増を見込んで、約2,300億円という財政規模を算出したとされている。

 これに対し同常任理事は、本来、各サービスにおける介護経営実態調査の結果を基に、社会保障審議会介護給付費分科会において、その収支差率等を検証、議論した上で改定率を示し、さらに介護従事者に対し適切な処遇改善を図るための健全な事業経営が可能となるような介護報酬を導き出すことが筋であると主張。現在、同分科会が審議中であるにもかかわらず、3%という数字が出てきたことについて疑問を呈した。

 また、実際に同分科会で示された看護・介護職員(常勤換算)1人当たりの給与について、地方公共団体の公務員と民間事業所職員の給与を比較すると、月額4〜5万円の格差があり、全体を公務員並みに引き上げるとすると、少なくとも5%以上、4,500億円以上の財源が必要になると指摘した。

 最後に同常任理事は、介護職種を目指す若者にとって、より魅力ある職業になるよう、また、従事者が誇りを持って仕事に携わることができるよう、今回示された数字にとらわれることなく、給与面のみならず介護従事者をとりまく処遇全体について、引き続き分科会において議論を行い、必要な改定率を求めていくとの考えを示した。

◆問い合わせ先:日本医師会介護保険課 TEL:03-3946-2121(代)

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