白クマ
日医白クマ通信 No.1049
2008年11月21日(木)


定例記者会見
「消費税に関する最近の動きと日本医師会の見解」
―中川常任理事

 中川俊男常任理事は、社会保障財源確保のための消費税引き上げ論議が、政府、社会保障国民会議を中心に広まっていることから、現時点での日医の見解を公表した。

 同常任理事は、日医のスタンスとして、2007年度までは、歳出改革等が徹底されるよう、新たな財源(消費税)については「最終手段」としてきたが、社会保障の中で、年金の財源確保を優先するかのような議論が進んでいることから、本年5月に方針転換を図り、「同時並行で」検討すべきとした。さらに本年10月には、社会保障の財源確保のため、医療保険財政、特別会計、独立行政法人のそれぞれの改革、そして消費税の検討を合わせて進めるべきと主張したと説明した。

 また、消費税引き上げにあたっては、現在、一般医療保険にも公費が投入されているが、公費は高齢者に集中投入し、高齢者医療は保障の理念の下、主として公費(国)で運営し、この公費部分を歳出改革による財源、消費税などの新たな税財源の受け皿とすることを日医として提案したいとの考えを示した。

 さらに、消費税の取扱いを「目的化」とするか「目的税」とするかについては、「目的化」では、「財政規律が働きにくい、安定的財源になりにくいとされている」、一方、「目的税」では、「税収が支出を下回る場合、社会保障費の抑制に直結する」、「財政が硬直化する」など、それぞれの問題点を指摘したうえで、「消費税収は、国の一般会計予算総則で、基礎年金、後期高齢者医療、介護の国庫負担分に充てることが決まっている。2008年度は必要額に対して5.8兆円不足しており、消費税率を引き上げても、不足を埋めることが優先されると考えられる」とし、消費税の大幅な引上げが達成されにくい現状では、「目的税」で縛ることは、社会保障費の抑制に直結しかねない。当面は「目的化」を維持し、負担と給付について、十分に国民の合意を得た上で、あらためて目的化か目的税化を検討したい、と現時点での日医の見解を明らかにした。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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