白クマ
日医白クマ通信 No.1057
2008年11月28日(金)


定例記者会見
「周産期医療、救急医療体制の構築と連携について」
―石井正三常任理事

石井正三常任理事


 石井正三常任理事は、11月26日の定例記者会見で、都内で発生した妊婦受け入れが困難な事例が起きた現状に憂慮の念を表明したうえで、日本医師会の方針と取組みに触れた後、地域の実情に応じた周産期医療、救急医療体制の構築と連携について救急医療担当理事の立場から、見解を述べた。

 さらに、総合周産期母子医療センターについては、「できる限り正常分娩を地域の医療機関に委ねて本来の役割に集中すべき」と指摘。また、「脳神経外科等、母体救急を含む周産期における救命救急医療に関連性の高い診療科の併設や、関連診療科や施設との連携を図るべきだ」とした。また、「空床を確保するための補償制度やオンコール体制の充実が必要である」との考えを示した。 

 そして、「世界に誇れるわが国の周産期医療の実績は、その約半分を診療所が支えてきたが、分娩を扱う診療所が減少すれば、軽症・重症を問わずすべての分娩がセンター的病院へ集中し、その高負荷が病院の破綻を導くことは火を見るより明らか」と指摘し、「身近に診療を受けられる医療機関があることは、何よりの安心・安全にもつながる」と診療所への支援を訴えた。

 そのほか、「マスコミ報道において「たらい回し」や「診療拒否」という言葉が使用されているが、主治医がより良い医療の提供を目指して相談や問い合わせをする行為にまで、結果責任を求めるような論議は、目前の症例に真摯に対処しようとする医療現場の萎縮を招きかねない」と苦言を呈した。そして、救急患者の受入問題は、「地域医療の連携問題、医師の不足・偏在などによる救急医療への地域対応能力低下を要因とするものも含まれている場合、一方的に救急医療機関や医療関係者に責任を帰するような表現は適切ではない」と批判した。

 最後に「救急医療や周産期医療をはじめとする医療現場では、限られた医療資源の中で、医師、看護職員等が懸命に努力を続けている。行き過ぎた改革路線によって削減された医療費では、医療機関を正常に機能・維持させるべき収支バランスを大きく逸脱しているのが現状である」と述べ、「国は医療費抑制策を撤回し、必要な財源を確保するべきである」と強く主張した。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第1課 TEL:03-3946-2121(代)

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