白クマ
日医白クマ通信 No.1121
2009年4月2日(木)


定例記者会見
「15カ国における産科医確保に関する調査結果について」
―石井常任理事

石井正三常任理事


 石井正三常任理事は、4月1日の定例記者会見で、「医師確保策―15カ国における産科医調査―」の結果について説明した。

 本調査は、わが国の周産期医療を取り巻く環境が極めて厳しく、産科医不足や偏在に対する解決策が急務になっていることから、諸外国での産科医の需給の現況や確保のための方策を調べ、日本の実情にふさわしい確保策を検討するための資料とすることを目的として実施したものである。

 調査は、期間を2008年1〜8月とし、世界医師会加盟国のうち17カ国を対象に行い、回答のあった14カ国(フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、カナダ、韓国、台湾、シンガポール、タイ、フィンランド、デンマーク、ニュージーランド、イスラエル、アイスランド)に日本を含めた15カ国のデータをもとに分析した。

[調査結果]

(1) 15カ国中11カ国が「産科医の不足や偏在がある」と回答、産科医の不足や偏在は諸外国でも課題となっており、訴訟の増加、若い医師の勤務意識の変化などは共通の現象であった。

(2) 確保策としては、研修医数の管理、産科医の総数管理、地方勤務のための経済支援、外国人医師の採用が用いられていた。外国人医師の活用が困難な日本では、医師確保はより切迫した問題である。

(3) フランスでは、関連機関の代表者による委員会で地域別研修医数を検討。ただし、研修終了後の地方部における定着の問題を抱えていた。

(4) 平均勤務時間は、日本が74時間(週)と調査対象国のなかで最長であった。

(5) 産科医の勤務環境がよいと回答した国では、医学生間で産科の人気が高い傾向がみられた。

 以上の結果からみても、同常任理事は、「勤務環境の改善は日本でも問題解決の大きなポイントになるのではないか」との考えを示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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