白クマ
日医白クマ通信 No.1208
2009年11月27日(金)


定例記者会見
「有床診療所の診療報酬について日医の見解を示す」
―今村定臣常任理事

定例記者会見


 今村定臣常任理事は11月25日の定例記者会見で、診療報酬改定に向け、有床診療所に対する日医の見解を示した。

 同常任理事はまず、有床診療所が11,286施設と約20年で半減し、とくに小規模の有床診療所が撤退したことを説明。また、有床診療所が地域医療において大きな役割を担っていることから、体制整備の必要性について言及した。

 日医が今年6〜7月に実施した「有床診療所経営実態調査」をもとに、有床診療所が、(1)専門性の高い医療と緊急時の医療、(2)病院と在宅、病院と介護施設のつなぎを行う受け皿、(3)在宅医療の後方支援となる病床、(4)終末期医療を含むニーズの高まる分野での対応、(5)へき地・離島における唯一の入院施設―など、さまざまな役割を果たしているとして、有床診療所の診療報酬を全体的に引き上げる必要性を強調した。

 入院基本料の逓減制については、「診療科にとらわれず病院からの早期退院患者の受け皿、病院と在宅のつなぎの機能を果たしている有床診療所が多く、地方部では特にその傾向が見られる。中長期入院患者が多い施設での経営状態は悪く、これらの入院を継続するための評価が必要である」として、緩和すべきであるとした。

 自院への在宅患者緊急入院診療加算については、「有床診療所の内科の5割は在宅療養支援診療所であるが、他院に入院させた時に算定出来ても、自院に入院の場合は算定出来ない」と指摘。さらに、介護施設での受け入れができない医療ニーズの高い患者の入院は長期化する例が多いため、中長期の入院基本料の引き上げが必要だとした。

 入院基本料については、24時間対応の有床診療所における緊急入院が、ぎりぎりの人員配置のなかで行われており、緊急入院の数が多い施設では経営状態が悪い傾向が見られることから、「緊急入院に安全に対応できる体制を敷くために、人件費をまかなえる入院基本料の再評価が必要である」と述べた。

 看護職員配置については、「有床診療所では入院・外来一体でカウントするが、今回の実態調査では、看護職員の約6割が入院医療に従事していた」と指摘。そのうえで、19人の入院患者の施設では、平均11.6人の看護職員が配置されており、入院医療への従事はその6割に当たる7.0人となり、病院の旧3:1(現行のおおよそ15:1)に相当する6.3人を上回る配置であるとして、手厚い配置を行っている有床診療所の入院基本料の評価を求めるとした。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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