白クマ
日医白クマ通信 No.1226
2009年12月25日(金)


定例記者会見
「医療における株式会社参入に対する日医の見解」
―中川常任理事

 12月10日の構造改革特別区域推進本部において、評価・調査委員会医療・福祉・労働部会が開催され、委員から、株式会社が医療機関を開設出来る特区(以下、株式会社特区)の拡大を求める意見があったとされる報道を受けて、中川俊男常任理事は、12月24日の記者会見で、医療における株式会社特区と株式会社参入の問題点を改めて指摘した。

 同常任理事は、まず、現在の株式会社特区のこれまでの経緯を説明した上で、今後、株式会社参入が全国展開し、保険診療に参入してくるようなことになれば、さらに重大な問題が生じてくると指摘。問題点として、株式会社特区で認められている高度医療については、必ずしも安全性、有効性が認められていないこと等を挙げた。

 さらに、医療法人と株式会社が同じ診療行為を行った場合、保険診療収入は同じであるが、株式会社は株主に配当を行うために、より多くの利益が必要となり、医療法人に比べて収入を拡大するか、コストを圧縮するかをしなければならないことから、(1)医療の質の低下、(2)不採算部門等からの撤退、(3)公的保険範囲の縮小、(4)患者の選別、(5)患者負担の増大、(6)税金による配当―等、公的医療保険制度を揺るがしかねない問題も生じかねないと懸念を示した。

 そのうえで、同常任理事は、「株式会社特区計画時点では、高い理想が掲げられていたが、今のところほとんど到達できておらず、それどころか、参入した企業が経営に汲々としていることが伺える。株式会社特区の成果がなんら検証されていないなか、構造改革特別区域推進本部から、株式会社特区拡大の意見が出ているのが、まったく理解出来ない」と述べるとともに、株式会社参入の狙いは、公的医療費支出の抑制、私的医療費支出の拡大であり、その根底には市場原理主義があると指摘し、日医は引き続き、医療における株式会社参入に強く反対していく意向を示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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