白クマ
日医白クマ通信 No.1254
2010年3月3日(水)


定例記者会見
「医学部新設に反対を表明」―中川常任理事

 3つの私立大学が医学部新設の準備を進めているとの一部日刊紙の報道を受けて、中川俊男常任理事は2月24日、記者会見を行い、「日医は医師数を中長期的に1.1倍〜1.2倍にすることが妥当と考えているが、医学部の新設をもってこれを実現することには反対である」との考えを明らかにした。

 同常任理事は、まず、医師養成数のあり方に関する日医の考え方について、中長期的に医師数を1.1倍〜1.2倍にすることが妥当と考えるが、その前提条件には、(1)財源の確保、(2)医学部教育から臨床研修制度までの一貫した教育制度の確立、(3)医師養成数の継続的な見直し―があると説明。特に人口減少社会にあっては、人口減少と医師養成数増加のバランスをとることが重要となるが、医師養成数は2009年には8,486人、2010年にはさらに増加して8,846人になることを考えれば、医学部を新設する必然性はないとした。

 医学部新設に係る問題点については、(1)教育確保のため、医療現場から医師が引き揚げざるを得ず、地域医療崩壊が加速、(2)教員が分散し、医学教育の水準、ひいては、医療の質の低下をまねく、(3)人口減少など社会の変化に対応した医師養成数の柔軟な見直しを行いにくくなる―の3点を指摘。その影響については、2008年の医育機関附属の病院の勤務者は46,563人、医育機関数は161であり、1医育機関当たり医師数は289人となることを示し、仮にひとつの医学部が新設され、医療現場から289人が失われることになれば、医療施設医師数は0.1%減少することになると指摘。しかも、二次医療圏の約4割では、医療施設従事医師数が289人以下であることを考えれば、医学部新設による影響で、地域医療はさらに崩壊が進むことは否定できないとし、医学部新設に対し、改めて反対の立場を表明した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
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