白クマ
日医白クマ通信 No.1454
2011年8月5日(金)


定例記者会見
「行政刷新会議の規制・制度改革に対する日本医師会の見解(3)」
―三上常任理事

定例記者会見


 介護分野についての見解

 三上裕司常任理事は、「行施刷新会議の規制・制度改革」から、介護分野について「介護保険の利用者負担増、給付範囲の縮小を示唆している社会保障・税一体改革成案の内容を既成事実化するものであり、大きな問題がある」とした上で、いくつかの項目について、日医の見解を述べた。

 (1)「施設・入所系サービスの再編」について、サービスの類型(居住系サービス、居宅サービス、在宅サービスなど)が混在し不明瞭な部分があるため、介護給付費分科会で、介護保険のサービス提供体制について、全般的に再定義、再区分することが必要とした。

 (2)「ショートステイに係る基準の見直し」について、「ショートステイは、在宅医療を推進するために積極的に整備を進めるべき」とした上で、小規模事業所については、経営基盤やサービス提供体制に不安があることから、一定規模以上の事業所の併設で行なうことが望ましいとした。また、施設の短期利用については、レスパイトや医療ニーズの高い高齢者に対する緊急的な利用が主であり、特に短期入所療養介護の基準要件を緩和し、医療ニーズに対応するため、中小病院、有床診療所の空床利用も可能とすべきとした。

 さらに同常任理事は、「これらは、介護給付費分科会で審議すべき課題であり、頭越しの検討は認められない」と加えた。

 (3)「ホテルコスト・補足給付の適正化」については、1.ホテルコスト(食費・居住費)は、そもそも介護保険給付外であり、補足給付として介護保険財源から手当てをすることは矛盾している。本来は生活保護の住宅手当などで対応するべき。2.ホテルコスト(食費・居住費)については、個室、多床室に関わらず、法令上、すでに保険給付の対象外となっている。また、あらたに多床室の居住費等を徴収すれば、所得の低い利用者を個室はおろか、多床室からも締め出すことになり、反対であるとした。

 (4)「給付限度額を超えて利用する場合の利用者負担の見直し」では、緊急時サービスは、医療ニーズのある利用者が、訪問看護等を利用しなければならない状況になった場合に介護保険優先の取り扱いで、自己負担となる問題からきている。

 同常任理事は、給付限度額については介護保険制度の根幹であることから、介護給付費分科会で徹底的に議論したいとし、「がんのターミナルなどの特別指示書の適用範囲の拡大で対応するべきではないか」と示唆した。

 (5)「訪問看護ステーションの開業要件の見直し(『規制仕分け』における規制・制度改革事項)」では、特例的に認められた基準該当訪問看護サービスの状況、並びに検証を踏まえたうえで、介護給付費分科会で議論すべきである。

 同常任理事は、「現在被災地で数件申請が出ているが、まだ認可が下りていない状況であり、特例の継続・中断について介護給付費分科会で議論していきたい」とした。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)
◇関連資料はこちら⇒PDF(120KB)


  日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association.
All rights reserved.