白クマ
日医白クマ通信 No.1477
2011年11月14日(月)


定例記者会見
平成23年度有床診療所に関する検討委員会答申並びに「有床診療所の日」記念講演会の開催について
―葉梨之紀常任理事

定例記者会見


 葉梨之紀常任理事は、11月9日の定例記者会見で、有床診療所に関する検討委員会(委員長:大道久社会保険横浜中央病院長)が取りまとめた答申について説明した。有床診療所の地域における役割の重要性を訴え、それに見合う診療報酬の評価を求めている。

 同委員会への原中会長からの諮問は「次期同時改定を見据え、有床診療所の安定経営と安心医療のより一層の充実のために─次世代につなぐ有床診療所─」であり、六月に行った中間答申を踏まえて検討を行った。

 答申は、(1)医療・介護の提供体制における有床診療所の役割、有用性、(2)有床診療所が抱える課題、(3)現行の有床診療所の診療報酬における課題―不合理な診療報酬、(4)次期診療報酬改定に関する要望―不合理な診療報酬の是正、(5)介護保険における有床診療所の役割、(6)「地域一般病床」と有床診療所―を柱に構成されている。

 答申では、まず、有床診療所について、専門医療の提供により、病院への集中を防いで勤務医の負担軽減に寄与していることや、急性期後の後方病床機能が病院からも求められていることを強調。一方で、不当に低い診療報酬が長く続いてきたため経営困難を抱え、十分な看護職員等が確保出来ないなどの問題があるとし、診療報酬で適切に評価し、出来るだけ早期に経営収支の改善を図る必要があると指摘している。

 その上で、不合理な診療報酬の是正に向け、1.有床診療所入院基本料の引き上げ、2.他医療機関受診時の取り扱いの見直し、3.看護補助加算の創設、4.有床診療所の終末期医療から看取りまでの機能に対する評価、5.有床診療所の回復期リハビリテーション機能に対する評価、6.有床診療所におけるがん緩和ケアに対する評価、7.認知症を抱える患者への対応に対する評価―の7項目の要望を掲げている。

 特に、1.では、医師や看護職員が医学的管理を行っているのに介護施設よりも評価が低いのは、あまりにも不合理だとして入院基本料の引き上げを強く要望。4.では、高齢化に伴って死亡者数が増える中、独居や夫婦のみの世帯が6割以上を占める社会構造においては在宅での看取りが困難だとし、急性期の病床が看取りに使われることを避けるためにも、有床診療所がかかりつけ医として今まで以上に役割を果たすべく「有床診療所終末期・看取り加算」の創設を要望している。

 また、有床診療所が介護保険のショートステイに参画しやすくなるよう、手続きや施設基準の要件緩和を求めている。

 このほか、葉梨常任理事は、日本医師会と全国有床診療所連絡協議会の共催で、12月4日(日)15時より日医会館大講堂において「『有床診療所の日』記念講演会」を開催することを紹介。「有床診療所の日」について、「有床診療所がどのような医療機関なのかを知っていただくために広報活動が必要であるということで、昨年、全国有床診療所連絡協議会が制定したものである」と説明したうえで、多くの参加を呼び掛けた。

 なお、12月4日は、日本で初めて病床を有した診療所である小石川療養所が設立された日である。当日は、「小石川養生所の設立と有床診療所」「有床診療所への期待」「被災地の状況について」という3題の講演が行われる予定となっている。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)
◇関連資料はこちら⇒答申PDF(2MB)講演案内PDF(149KB)


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